~生活困窮者支援の孤立を防ぐ~続・後方支援プロジェクト報告書

はじめに
「生活困窮者支援の孤立を防ぐ~続・後方支援プロジェクト」では、生活困窮者支援機関のつながりづくりを目的に、生活困窮者支援機関の皆さんからのご協力のもと、盛りだくさんの事業を行ってきました。すべての事業を通し、道内、道外合わせて 164 の事業所、241 名の皆様に参加していただきました。生活困窮者支援に関わる多くの皆さんのご参加によって、無事に本プロジェクトを終了することが出来ました。本当にありがとうございました。
当法人では、社会的排除が生み出す孤立をテーマに一人ひとりが主体的に関わりあえる地域づくりを目指し活動してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響は人と人、さらには支援者同士のつながりをも分断し、生活困窮者のみならず支援者の孤立・孤独を拡大させたと感じています。
北海道道央圏において 2016 年に開始した「道央圏 生活困窮者自立支援事業 担当者情報交換会」では、2019 年までは主催自治体にバトンを渡す形で生活困窮者支援担当者同士の情報交換会を実施してきましたが、2020 年コロナ禍の影響により中止、バトンが止まる形となってしまいました。
このような状況を受けて、2020 年度に READYFOR「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」 による「生活困窮者支援現場の後方支援プロジェクト」を当法人で開始しました。後志、石狩、空知エリアの「相談支援団体」における新型コロナウイルス感染拡大による影響、各団体のニーズを把握、支援物資の送付、フードバンクとの連携を、感染拡大のなか支援事業に取り組む民間団体への後方支援として実施してきました。その結果、フードバンク利用者の孤立・情報難民状態・生活困窮者支援機関におけるコロナ禍での負担増などの課題が見えてきました。
そこで、2021 年度は「続・後方支援プロジェクト」として、これまで培ってきた道央圏を中心としたネットワークを北海道内全域に展開し、【Ⅰ】生活困窮者支援者の孤立を防ぐため生活困窮者支援機関の情報交換の場を作ること、【Ⅱ】孤立する生活困窮者が支援情報に用意にアクセスできる仕組みを構築すること、【Ⅲ】支援に使える支援メニュー(後方支援メニュー)を試験的に実施し、支援実績のある自治体から支援実績のない自治体へのノウハウ提供、各自治体の社会資源の不足を補う中間支援事業を行うことを目的として事業を進めました。また「北海道生活困窮者支援ネットワーク」のあり方に関する検討委員会を開催し、北海道の生活困窮者支援のためのネットワークおよび中間支援組織の構築について検討を行いました。
Ⅰ情報交換会への参加・アンケートへの協力をしてくださった北海道内の生活困窮者支援機関は 79 機関(内 26 自治体・53 事業所)と全生活困窮者支援機関の6割以上の参加率となりました。また、Ⅱ「北海道支援情報ナビ」の開発を通じた支援情報提供体制の構築では北海道庁のオープンデータとの連携を行い、自動更新可能な情報提供体制の構築を一部可能にしました。また、Ⅲの社会資源の開拓ではフードバンクと相談支援機関との連携促進やシェルター機能の提供など地域ニーズの開拓等、プロジェクトメンバーの協力のもと様々な支援メニューの開拓を実施しました。
本プロジェクトでの実施内容から、ネットワークの構築や、ニーズ把握、論点整理、人剤育成、ノウハウ提供、スーパーバイズの機能や社会資源の開拓などの生活困窮者支援における支援者支援の機能が見えてきました。この7つの機能は一体的に、官民一体で実施されるからこそ効果的に、制度改善や支援体制整備、そして支援者を孤立させない支援者支援、を行う役割を担っていけるのではないかと感じています。またフードバンク連携についての費用の問題や恒久的な支援情報提供体制の課題も残ります。この様な地域課題を解決するためにも、こうしたネットワークの構築は地域力・支援力の向上に繋がり、ひいては災害時などのバックアップとなります。生活困窮者法の理念である、孤立させない支援、支援体制整備の大切さは支援者支援にもそのまま当てはまるということです。
私たちは誰もが一人では生きていけないし、支援も孤立しては出来ません。だからこそ、お互いに相談し合い、フォローし合いながら、少しずつスキルアップし、できる範囲を広げていく、それが、制度からこぼれ落ちた生活困窮者の方たちと関わるために大切なことなのではないかと思います。
私自身不慣れな事務局業務にたくさんの方たちに助けていただきました。本当に心より感謝です。今後とも、北海道の生活困窮者支援のこれからを一緒に考え、そして作って行く仲間としてみなさんのご協力を頂きながら、少しずつ繋がりを広げていけるように邁進していきたいと思っています。
この度はたくさんのご参加・ご協力頂きましたこと、改めてここに御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

 

NPO法人コミュニティワーク研究実践センター
生活困窮者事業推進室 事業主任
佐渡 洋子(さわたり ひろこ)


「NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター」へ入職。
市民活動プラザ「星園」・コミュニティハウス「れおん」立ち上げスタッフとして勤務。ニート引きこも
り層の若者支援→絆再生事業を活用する事によりホームレスや生活困窮者の若者支援を行う。
生活困窮者事業推進室にて生活困窮者支援機関の後方支援を行っている。札幌一時生活支援協議会理事。
伴走型支援士1級/社会福祉士/公認心理師

 

事業全体の概要

【事業目的】
コロナ禍にて顕著となった孤独・孤立問題と同様に、私たち生活困窮者自立相談支援機関
自体も孤立※している現状がある。そのため支援機関同士をつなぎ、顕在化した困窮者支
援への課題解決を目的として以下の事業を実施した。
【実施期間】2021年6月~2022年3月
【対象地域】北海道全域 (道央圏情報交換会の流れを組み、道央圏からスタートし
全道に事業を展開、事業内容によって他県の取組みと連携して実施)
Ⅰ 情報交換会・シンポジウムの実施
Ⅱ 情報集約・情報提供体制の構築 (「北海道支援情報ナビ」の開発)
Ⅲ 生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供
① 北海道 NPO のデジタル化相談事業
② SNS 相談窓口の開設支援事業
③ シェルター広域連携推進事業
④ こころの SOS(カウンセリング)事業
⑤ オンライン就労準備プログラム
⑥ 地域ジョブコーチ育成プログラム
⑦ フードバンク窓口連携支援事業
Ⅳ 連携に対する効果検証・実態調査

 

 

「Ⅰ 情報交換会・シンポジウムの実施」については、北海道庁の協力を得て、道内の
福祉事務所設置自治体、生活困窮者自立相談支援機関(受託団体)、社会福祉協議会へ事
業の周知、参加の呼びかけを行った。
「Ⅱ 情報集約・情報提供体制の構築」は、静岡県 POPOLO が作成していた LINEBOT を
参考しながら、その開発にあたった市川氏(Code for Japan)の協力を得て、開発に取り組
んだ。データ作成にあたっては、LINEBOT 製作チームとして、後志振興局、釧路市・岩見
沢市の自立相談支援機関担当者と共同でデータ作成、開発を行った。
「Ⅲ 生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供」としては、①北海
道 NPO のデジタル化相談事業、②SNS 相談窓口の開設支援事業、③シェルター広域連携
推進事業、④こころの SOS(カウンセリング)事業、⑤オンライン就労準備プログラム、
⑥地域ジョブコーチ育成プログラム、⑦フードバンク窓口連携支援事業と多岐に支援メニ
ューを用意し利用していただいた。
なお、ネットワークづくりを兼ね、I~Ⅲの各事業の周知をするため、道内に 49 ある福
祉事務所設置自治体のうち、43 自治体の担当者又は自立相談支援機関を対象に対面、オン
ラインさまざまな手段で、事業説明会を実施した。感染拡大の影響により一部スケジュー
ルが合わず、訪問できなかったり、声掛けが遅くなってしまった自治体もあるが、広い道
内各地への事業周知および現状把握をすることができた。
最後に「Ⅳ 連携に対する効果検証・実態調査 」として、事業の効果検証として、I 同
様に北海道庁を通じて、道内の福祉事務所設置自治体、生活困窮者自立相談支援機関(受
託団体)、社会福祉協議会へのアンケート調査を実施、取りまとめを行っている。
また、今後の道内の生活困窮者支援の在り方を考えていくための検討委員会を立ち上
げ、事業終了後も議論の場を継続していく仕組みができたこともひとつの成果である。
本プロジェクトⅠ~Ⅳ及びすべての関連事業を合わせた支援実績は延べ 442 団体、支援
員 753 名、相談者 2593 人、事業利用件数 298 件、シェルターの宿泊は 716 泊に上った

 

道内福祉事務所設置自治体一覧

振興局 自治体 振興局 自治体
空知総合振興局
(10市14町)
空知総合振興局 日高振興局
(7町)
日高振興局
夕張市 渡島総合振興局
岩見沢市 渡島総合振興局
(2市9町)
函館市
美唄市 北斗市
芦別市 檜山振興局
赤平市 檜山振興局
(7町)
檜山振興局
三笠市 上川総合振興局
滝川市 上川総合振興局
(4市17町2村)
旭川市
砂川市 名寄市
歌志内市 富良野市
深川市 士別市
留萌振興局
(1市6町1村)
留萌振興局
石狩振興局
(6市1町1村)
石狩振興局 留萌市
札幌市 宗谷総合振興局
(1市8町1村)
宗谷総合振興局
江別市 稚内市
千歳市 オホーツク総合振興局
(3市14町1村)
オホーツク総合振興局
恵庭市 北見市
石狩市 網走市
北広島市 紋別市
後志総合振興局
(1市13町6村)
後志総合振興局 十勝総合振興局
(1市16町2村)
十勝総合振興局
小樽市 帯広市
胆振総合振興局
(4市7町)
胆振総合振興局 釧路総合振興局
(1市6町1村)
釧路総合振興局
室蘭市 釧路市
苫小牧市 根室振興局
(1市4町)
根室振興局
登別市 根室市
伊達市

 

1.情報交換の場づくり

情報交換会・シンポジウム・ネットワークづくり

1-1

概要
本プロジェクトで実施した情報交換会やシンポジウムの動きは、2016 年に開始した「道
央圏 生活困窮者自立支援事業 担当者情報交換会」がベースとなっている。これは、生活
困窮者自立支援制度がスタートするに伴い、生活困窮者支援事業での支援の在り方や運用
方法等、各自治体担当者間の情報共有を目的として開始したものである。2016 年度から
2019 年度まで、江別市→北海道→小樽市→苫小牧市→岩見沢市→千歳市と主催自治体にバ
トンを回しながら実施してました。しかし 2020 年度はコロナ禍の影響を受け、業務負荷
の激増、感染対策の観点から対面開催ができず、情報共有の機会を失ってしまっていた。
これは有志による開催としてきたが故の課題でもある。
今回、持続可能なネットワークの構築を目的として、この情報交換会の趣旨を北海道全
域に広げ、原則 ZOOM を利用した形で、全道から参加いただく形で情報交換会を実施し
た。第 1 回~第 5 回までの情報交換会、シンポジウム(10 月)、最終報告会(2 月)への
参加およびアンケートにご協力いただいた民間支援団体・自治体等は 85 団体となった。
このうち生活困窮者自立相談支援機関(自治体・委託先)は 79/124 と 6 割以上の参加率
となった。
また、情報交換会や道内の後方支援を効果的に行うための仕組みについて検討するた
め、「北海道生活困窮者ネットワークのあり方に関する検討委員会」を 3 回開催し、北海
道内における生活困窮者支援を次世代に続けていくための議論の場を持つことができた。
〇実施内容
1)情報交換会(5 回)
2)情報交換シンポジウム(第 3 回情報交換会と同時開催)
3)最終報告会
4)「北海道生活困窮者ネットワーク」の在り方に関する検討委員会
・北海道生活困窮者支援ネットワーク会議
・北海道生活困窮者支援ネットワークオープンチャット
〇実施体制
「北海道生活困窮者ネットワーク」の在り方に関する検討委員会内に情報交換会運営部
会を設置する形で情報交換会・シンポジウム・最終報告会などを実施した。また、道央圏
を中心としたつながりをベースに情報交換会の各グループディスカッションのファシリテ
ーターの協力を頂き実施することができた。

1-2

情報交換会
今年度は 5 回にわたり情報交換会を実施した。初回のみ道央圏を中心とした開催とした
が、2 回目以降は道庁を通じて、道内全域に声掛けを行い、85 団体、延べ 247 名に参加い
ただくことができた。
開催については、ZOOM を活用して原則オンライン開催として実施した。スケジュール
およびテーマは次の通りである。なお、第 3 回についてはシンポジウムと同日に開催して
いる。

○開催日程・参加者数

開催 日時 参加者数・機関
第1回 6月4日 27名(14機関:団体9(13)・自治体4(4)・厚労省(10))
第2回 7月15日 49名(35機関:団体27(31)・自治体7(8)・厚労省(10))
第3回 10月15日 90名(52機関:団体42(67)・自治体9(13)・厚労省(6))
第4回 12月17日 69名(47機関:団体39(54)・自治体7(10)・厚労省(1))
第5回 2月24日 12名(9機関:子どもの学習・生活支援機関のみで実施)

合計 述べ247名(内は人数)

 

○各回の情報交換会のテーマ

第 1 回情報交換会:

開催テーマ
第1回(1)コロナ禍においての支援のあり方について意見交換
第2回(1)今回の情報交換会のような意見交換の場の必要性
(2)各地域をまとめたプラットフォームがあるのはどうか
(3)緊急時の給付金のあり方
第3回(1)コロナ禍での取り組みや地域づくりの情報を共有
(2)生活困窮者支援に向けての中間支援に期待すること
第4回(1)各グループテーマについて議論
(2)各グループディスカッション全体共有

<グループテーマ>
【1】自立相談支援事業 【支援に関する事】(引きこもり)
【2】自立相談支援事業 【支援に関する事】(引きこもりと就労準備支援事業)
【3】自立相談支援事業 【支援に関する事】(引きこもりと家族支援)
【4】家計改善支援事業・自立相談支援事業 【支援に関する事】(その他のケース検討等)
【5】自立相談支援事業 【その他支援以外に関すること】(プラン作成の取り扱いやシステム・支援調整会議の進め方等)
【6】就労準備支援事業
【7】一時生活支援事業
【8】制度の運営について(自治体担当者)
【9】社会福祉協議会との連携などについて・関係機関との連携や地域づくり(その他NPOなども含む)
【10】テーマを決めずに様々な話がしたい
第5回(1)自立相談支援事業・子どもの学習・生活支援事業を直営で行っている千歳市からの問題提起
(2)取組みについて(コロナ渦における状況含む)
(3)ICTの活用について
(4)教育委員会や行政・自立相談との連携について

各回の情報交換会レポートはこちらから
⇒URL https://tinyurl.com/bde8tkn9

 

1-3

シンポジウム
10 月 15 日に、情報交換シンポジウムを開催した。(第3 回情報交換会と同日開催)
第 1 部では、厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮室の唐木啓介室長をお呼びし、「生活困窮者支援法制度のあり方と現場をつなぐ支援者支援~コロナ禍の先に見え
るもの」と題してご講演いただいた。
また根室振興局保健環境部社会福祉課の菊地英人氏をコーディネーターとして、「北海道内の生活困窮者支援の現状~コロナ禍の中で見えてきたもの」と題して、石狩市社会福祉協議会の山崎智美氏、NPO 法人フードバンクイコロさっぽろの片岡有喜子氏、NPO 法人しりべし圏域総合支援センターの吉村寿人氏、鷹栖町健康福祉課の加藤進冴氏、以上 4 名による実践報告として、困窮者支援の現状報告をいただいた。

 
日時・参加者数
2021年10月15日(第3回情報交換会と同時開催)
参加者:90 名(52 機関:団体 42(67)・自治体 9(13)・厚労省(6))
第1部 (講演)生活困窮者支援法制度のあり方~コロナ禍の先に~
厚生労働省 社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室長 地域共生社会推進室長
唐木 啓介氏
【新型コロナウイルス感染症の影響について】
【困窮者分野においての新型コロナウイルス感染症対策】
【生活困窮者自立支援制度の概要】
【地域共生社会の推進】
【生活困窮者支援事業の目指すもの】
動画: https://youtu.be/rzk8lFoAp_4

第2部 (実践報告)北海道内の生活困窮者支援の現状
~コロナ禍の中で見えてきたもの~

コーディネーター:
根室振興局保健環境部社会福祉課 地域福祉係長 菊地英人氏
報告1:
社会福祉法人 石狩市社会福祉協議会 生活困窮・資金貸付担当係長 山崎智美氏
動画:https://youtu.be/xGzoI-7z1jg
報告2:
NPO 法人フードバンクイコロさっぽろ 理事長 片岡有喜子氏
動画:https://youtu.be/qbLVBT-r-7E
報告3:
NPO 法人しりべし圏域総合支援センター
しごと・くらし相談処しりべし 主任相談支援員 吉村寿人氏
動画:https://youtu.be/JEnBCanPdcs
報告4:
鷹栖町健康福祉課 地域福祉係長 加藤進冴氏
動画:https://youtu.be/t1rpW1Ur5yI
「情報交換シンポジウム 参加者アンケート」結果
本シンポジウムで実施いただいた参加者に対して、参加者アンケートを実施している。
⇒アンケート結果:https://tinyurl.com/45fpf4a3

 

1-4

最終報告会

2 月 18 日に、最終報告会「生活困窮者支援の現場に必要な支援者支援とは~北海道における後方支援を考える~」と題して、最終報告会を実施した。
第 1 部では、続・後方支援プロジェクトの事業報告として、事業全体の説明、北海道支援情報ナビの説明、また後方支援としてデジタル化応援窓口・SNS 相談導入、シェルター
広域連携推進事業、オンラインプログラム、フードバンク窓口連携、それぞれの事業報告を行った。
第2部では、パネルディスカッションとして、全国各地での、支援者支援、ネットワークづくりを先進的に取り組んでいる団体として、長野県社会福祉協議会の中島将氏、千葉県
生活困窮者自立支援実務者ネットワーク(ちこねっと)の大戸優子氏、東京都福祉保健局生活福祉部地域福祉課の村井恒一氏、NPO法人コミュニティワーク研究実践センターの佐渡洋子を加えて、それぞれに活動報告をしていただいた。
最後に、支援者支援の取組について、慶応義塾大学の堀田聡子氏、北海道保健福祉部福
祉局地域福祉課の宮川良介氏、厚生労働省社会援護局地域福祉課生活困窮者支援室の中間
あやみ氏にコメントをいただいた。

 
日時・参加者数
2022年2月18日
参加者:160 名(118 機関:道内 67(96)・道内自治体 2(3)・厚労省(6)道外他 48(55))
動画はこちらから⇒ https://www.youtube.com/watch?v=Jst1ptXY2RM&t=9813s

 

続・後方支援プロジェクトからの報告 Ⅰ~Ⅳ
Ⅰ:情報交換会・シンポジウム
報告者: NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 佐渡 洋子
(コメント)根室市社会福祉協議会
ねむろ日常生活サポートセンター 富山 則和
動画URL:https://youtu.be/fyvdEVTgA-g
Ⅱ 情報集約・情報提供体制の構築「北海道支援情報ナビ」試験版完成
〇「北海道支援情報ナビβ版」の紹介
報告者: CR-ASSIST 代表 四井 恵介
動画URL:https://youtu.be/z2Ecj4j_prw
Ⅲ 後方支援メニューの提供(生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供)
○北海道 NPO デジタル化相談事業(デジタル化応援窓口の活用支援)
○SNS 相談窓口導入支援(デジタル化応援窓口の活用支援)
報告者: 北海道 NPO サポートセンター 理事・事務局次長 定森 光
株式会社シージェイシステム 代表取締役 成田 禎仁
動画URL:https://youtu.be/6WUjT51CyLE
○シェルター広域連携推進事業
報告者: 株式会社 PLOW 代表取締役 神 輝哉氏
一般社団法人 札幌一時生活支援協議会理事 小川 遼氏
(コメント)帯広市自立相談支援センターふらっと 八重樫 薫
動画URL:https://youtu.be/8PuYnG1f-yA
15
○こころの SOS 事業(オンラインプログラム)
報告者: 一般社団法人 一時生活支援協議会理事 小川 遼
札幌南徳洲会認定臨床宗教師 観音寺住職 米本 智昭
動画URL:https://youtu.be/h_KNXBdI6wY
○オンライン就労準備プログラム(オンラインプログラム)
報告者: NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 湯澤 真吾
動画URL:https://youtu.be/RQfl0Wwmvyg

○地域ジョブコーチ育成プログラム(オンラインプログラム)
報告者: NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 穴澤 義晴
動画URL:https://youtu.be/fY5h8I9pK-I

○フードバンク窓口連携支援
報告者: フードバンクイコロさっぽろ 代表理事 片岡 有喜子
(コメント)三笠市社会福祉協議会福祉推進係 中村 聡
動画URL:https://youtu.be/ibKaqz6TMyI
Ⅳ 全体報告 連携に対する効果検証・実態調査
報告者: CR-ASSIST 代表 四井 恵介
動画URL:https://youtu.be/uogHrkVrGP4
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【第2部】 続・後方支援プロジェクトから見えてきたこと
~「北海道における後方支援を考える」~

〇事例報告・パネルディスカッション
コーディネーター: 北海道根室振興局保健環境部社会福祉課
地域福祉係長 菊地 英人
北海道生活困窮者支援ネットワークの在り方検討委員会委員長
動画URL:https://youtu.be/KjTJa7era_c
パネリスト1: 千葉県生活困窮者自立支援実務者ネットワーク
(ちこねっと)会長 大戸 優子
動画URL:https://youtu.be/t-k6IWElT5U
パネリスト2: 東京都福祉保健局生活福祉部地域福祉課 課長代理
(生活困窮者対策担当) 村井 恒一
動画URL:https://youtu.be/d6jo96cx0H4
パネリスト3: 社会福祉法人長野県社会福祉協議会 相談事業部
主任企画員 中島 将
動画URL:https://youtu.be/-97PoBDf4MM
パネリスト4: NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター
生活困窮者事業推進室 主任 佐渡 洋子
動画URL:https://youtu.be/lTVykRcJ5Eg

 

第 2 部コメント

慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授 堀田 聰子氏


昨年度からこの後方支援について勉強させて頂き、本日は北海道だけではなく各地の動きから改めて学ばせて頂きました。
支援者支援・支援のネットワークを考える時に、まず支援者が一人ではないという他との繋がりを感じた上で、情報の共有・意見交換で更にスキルアップの場に繋がっていくというのが一塊であると感じました。
そして更にその先で、情報共有で学んだ事から生まれる問題意識を根にしながら改めて実態を調査する。
どういうニーズがあるのかを調査研究しながら、他と連携し、無いものは作り出していく。試して発見し、既存のものが活用出来たかもしれないという所も含めて評価して、政策提言にも繋げていくと、各地のこれまでの長い取り組みからも、広がりや深まり、幅がいろいろとあり得るのであろうと思います。
幅のどこに焦点を置いて始めるのか、幅を広げ深めようとすればする程、バックオフィス機能(後方支援)は難しくなります。
それぞれの機能をしっかりと連携させながらどの様な体制でやるのか、都道府県が主導するのか、またはバックオフィス機能を果たす関与をするのか、という部分は確実に都道府県あるいは地域性を高める上でも必須と考えます。その上で、提言するという機能を妨げずに機動的に動いてプロトタイピング(試作)するといった体制を考えるという部分にも繋がっていくのだろうと思います。
最後に、併せてその機能の中には、都道府県単位が有効なものもあれば、北海道の様に広域な場合は圏域単位が良い場合もありますし、都道府県内に留まらずでも効果的な事もあるのであろうと思いました。
都道府県をベースにしながら、それぞれのネットワークに求める機能のどこをどの圏域でやる事が結果的であるのか、バックオフィスの負担を最小限にしながらの学び合いを各地で深めていけるのかという事を考える上では重要であると思いました。

 

パネリストより北海道へのエール
動画 URL :https://youtu.be/ahMCfyT4gYQ 

千葉県生活困窮者自立支援実務者ネットワーク(ちこねっと)
会長 大戸 優子氏


今日添付資料につけた点と線 91 号というものの抜粋の中で、ネットワークの目的は多様性に応えること・可能性を広げることを促進することだということをお伝えしています。繋がることで出来る事が増えると思っていますので、大変なことも増えますけれどもそういったことを楽しんでやっていけたらなと思っています。
ちこネットの活動と性質まとめの中で、私が一番楽しいのは横出しのガレージの部分で写真が載っているのですが、ちこネットのメンバーが長野県社協さんに人材育成研修の講師で呼ばれた時に、皆で同行し遊んで来たというものです。
北海道さんとも是非こんな関係が作れたら嬉しいと思っています。是非今後とも宜しくお願いします。
来週ちこネットの実務者ミーティングがオンラインで開催されます。
チラシをお配りしておりますので、もし宜しかったら遊びに来てください。一緒に頑張りましょう。

 

東京都福祉保健局生活福祉部地域福祉課
課長代理(生活困窮者対策担当) 村井 恒一氏


事業をやっていく時には、委託先にお任せするという事ではなくて、現場の方と一緒に考えながら取り組みをしていくことがやはり重要なのかなと。
私一人では何もできませんが、一緒に取り組んでいただける委託先の方、また適切な助言を頂ける大学の先生の方、加えまして我々のその思いは、答えていただける熱い想いを持った主任相談支援員の方が現場にいて、また区市町村の制度所管の職員にもそういう方はいらっしゃるので、そういった方々のご協力を頂いて、東京都の方でもここまでやってこられたと思っております。
そういった意味では県内地域にはそういう支援者は、場合によっては窓口一人で相談業務に当たっている方がいらっしゃるとは思うのですけど、決して一人ではなく。
北海道であれば佐渡さんや菊地さんを始め、プロジェクトに関わっている多くの方がいらっしゃるので、心強いのではないかと思っておりますので、引き続き皆さん頑張っていって頂ければと思っております。

社会福祉法人長野県社会福祉協議会 相談事業部
主任企画員 中島 将氏

最近思いますのはやはり支援の目の前の課題を解決しようというのもそうですけれども、ちょっとその支援やその人を俯瞰して見るということも大事かなということで安心未来という、ちょっと未来から今を見て、その人にとって何が必要なのかなあとか、少し自分の心を俯瞰してみることで自分の気持ちが楽になる事もあるのかと思っていました。
皆で一緒に今後の明るい社会を作っていければ良いと思っています。この困窮事業から明るい未来が作られていく、そんな社会になればいいなと思っています。宜しくお願
いします。

 

続・後方支援プロジェクト からの想い

コミュニティワーク研究実践センター 生活困窮者事業推進室
主任 佐渡洋子

他の地域ではもう平成 27 年度当初から都道府県を巻き込みながら、または一緒に様々な取り組みをしながら形を作っていっていたということがわかり、その事を今回もっと早く知れていたら、より効果的に出来た事業が沢山あったのではないかと思います。
今回の続・後方支援プロジェクトはアレもやりたいコレもやりたいという感じで全部入れ込んでしまったプロジェクトで、支援者を支援する、それぞれが抱える課題をどうやれば解決できるのかと考えた時に、北海道の広さと課題の多さというのは凄く大きな問題で…。だからこそ、その支援体制整備の後方支援ということで詰め込んでしまったわけなんですが、やり過すぎてどこかがやってくれるみたいなふうにはなりたくないんです。
やはり丸投げではなく一緒に頑張る、どうしたらこの地域を良く出来るのかというのを一緒に考えるということが大事だと思っています。結局私達の生活困窮者支援も相談相手がいなくて孤立してる方たちをどの様に支援していくのか、ということですよね。
だからこそ、その支援者自体が孤立しないように、支援者の相談相手になれる場所は何処なんだろう…という部分を、各都道府県の中でしっかり位置づけて、そこをしっかり担える人たちは、それが「都道府県の役割だから」ではなくて、「自分たちでやればいい」でもなくて、両方一緒にやっていくという事が大事なのではないかと思ってます。

その様なネットワークになれるように、頑張っていきたいと思います。宜しくお願い致します。

 

道庁・コメンテーターよりコメント
動画 URL :https://youtu.be/K_HwqE6zaU4

北海道保健福祉部福祉局地域福祉課地域福祉推進係
実務研修生 宮川 良介氏


今回は支援者の支援というテーマで、様々な話がされましたが、一つキーワードは関係機関とか関係者同士の連携が重要ということが言われていましたが、その連携をするにあたってはその目的がきっちりしていないとスムーズに進まないと思っております。
その中で今回のプロジェクトの中で言及されておりましたのがまず、支援者や相談員の方を孤立させないための連携。それには普段から顔が見える関係を作り、疑問等を情報交換できるような関係性作りが重要であると思います。

北海道では 14 の振興局があり振興局ごとにおいても非常に広大な範囲があり、その振興局ごとの委託事業者様同士の連携を進めていく為に、今年度からいろいろ取り組みをしているところです。各振興局の中でもその各町村が沢山ありますので、町村ごとの社協さんですとか行政の方、その他の機関とのところに実際にアウトリーチをして訪問をし、足を運んで顔見知りの関係を作ると。櫛部さん(釧路)の意見の中で、平成の 30 年間でアウトリーチなんて言わなければならない程になってしまったんだというご意見ありますが、そういうことは重要なんだろうなと思っております。
また、国の新しい新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金のメニューの中でも、令和 4 年度から支援の幅を広げるために、NPO や社会福祉法人との連携を強化していきましょうという方針が示されておりますが、NPO とか社会福祉法人の方とどういうふうに連携していくのか、きっかけ等は難しいと思いますが、来年度もこの後方支援プロジェクトを続けられる予定という事で、こうした機会を活用しながら支援の連携を広げるための連携をどんどん進めていって頂きたい。
各市の方にも予算の措置等も含めましてそういった連携作り、そういった幅を広げるものにご協力をしていただければなというふうに考えております。

 

厚労省・コメンテーターよりコメント
動画 URL :https://youtu.be/ssCfKDpBSa0

厚生労働省社会・援護局 地域福祉課・生活困窮者自立支援室
専門官 中間 あやみ氏


大戸さん、村井さん、中島さん、佐渡さんからお取り組みの仕方を学ばせていただきました。

生活困窮者の窓口に御相談に来られる方々というのは、非常に複合化複雑化した課題を抱えておられまして、そのような現場に従事される皆さんがたはソーシャルワークの視点・相談支援のスキルが非常に求められると同時に他の関係機関と連携をして支援を実施していく事が非常に重要であると今日のお話で改めて感じました。
スキル及び相談支援という部分で言いますと、人事異動やその地域の社会資源の差などによってそういったようなノウハウや、スキル的なものが継承されていかないとか、広がらないといったようなところがあるかもしれませんが、このような広域でのネットワークを作っていくことにより、所属している法人・機関またその地域を越えてスキルや情報の横展開をすることが出来たり、社会資源の開発や開拓が進んだり、仲間作りができると。これは生活困窮者自立支援制度が目指している生活困窮者の自立と尊厳の確保と、生活困窮者支援を通じた地域作りの目標を推進していくものになると感じ、支援者自身を孤立させない事にも繋がっていくと思いました。
またその連携という部分、道庁の宮川さんからもありましたが、今年度から、重層的支援体制整備事業というものが創設されていますが、この事業は断らない相談支援・参加支援・地域作りに向けた支援といったものを一体的に行って市町村全体で連携体制を構築していく。包括的な支援体制を市町村全体で作っていくっていうものの一つのツールにしか過ぎないというふうに考えています。
困窮者支援に従事されている皆さんのこのようなネットワークが、支援者同士の連携・顔の見える関係の構築をし易くし、地域全体で包括的な支援体制を構築していく事にも繋がっていくと思いました。
今回このネットワークの課題という部分もお話聞きながら勉強になりました。
後方支援はこのネットワークの機能をきちんと整理をした上で各地の実情やニーズに合わせたその幅の広げ方、深め方といったものもきちんと考えなければならないなと改めて学ばせていただきましたし、市町村を越えて言いますと都道府県に求められる役割、また期待も非常に大きいと思いました。
この生活困窮者の自立支援制度は令和5年に法改正を控えており、現場の皆さんの声をきちんと聞かせて頂きながら、改正に生かしていきたいと思っております。
本日は貴重なお時間いただいて本当にありがとうございました。学ばせていただきました。

 

「最終報告シンポジウム 参加者アンケート」結果
参加者へのアンケート調査結果は次の通りである。
⇒アンケート結果: https://tinyurl.com/yu4zsncb

配布資料 DL 用 HP https://kohoshien.cmtwork.net/202202handout/
DL 用パスワード: sapporo0218

 

1-5

「北海道生活困窮者ネットワーク」の
あり方に関する検討委員会
設置目的
本プロジェクトにおいて、情報交換会や道内の後方支援を効果的に行うための仕組みに
ついて検討した結果、北海道内における生活困窮者支援の次世代に続くつながりづくりを
目的とした「北海道生活困窮者ネットワーク」の構築が望ましいとの考えに至った。そこ
で、同ネットワークの構築に向けた、助言及び提言等を行うための委員会を設置した。
実施内容
・北海道生活困窮者ネットワークのあり方に関する検討委員会の実施(3回)
・情報交換会・シンポジウム運営部会及び北海道支援情報ナビ開発部会の設置
・ネットワーク会議の開催(1 月 17 日 21 団体 23 名)
・北海道生活困窮者ネットワーク LINE オープンチャット(参加者25名 7 件相談)


議論された内容・結論
北海道生活困窮者支援ネットワークでは、検討委員会を設置し、情報交換会やシンポジウムの運営部会・北海道支援情報ナビ開発部会などの協力を得ながら事業を進めてきた。
また、北海道内の情報交換会に参加した機関を対象に今後の情報交換のあり方について一緒に考えるためネットワーク会議を実施した。
情報交換会やアンケート等にて日常的な情報交換の場やノウハウ提供を行える場についてのニーズが高かったことから LINE のオープンチャット機能を活用し、チャットで聞きたいときに聞きたい人が活用し、答えられる人が答えるという相互フォローのグループを作成した。新制度情報の共有や帳票の扱い方から、困難事例に対する支援機関側の悩みなど幅広い相談ができる場となっている。
3回までの検討委員会を通し、生活困窮者支援ネットワークの構築に向けて、「繋がりづくり」に重点をおいて活動していくことを確認した。また、主体的に参加できる情報交換会のあり方の検討や、研修などの人材育成についての重要性などを再確認することが出来た。情報交換会を行うことで、地域課題などのニーズが見え、支援者支援のポイントも見えてくる。生活困窮者支援の理念と同様に、「一人にさせない」「地域づくり」のため情報交換会を継続し、北海道における生活困窮者支援員同士が緩くとも広がっていくネットワークを目指していく。

 

北海道生活困窮者ネットワークのあり方に関する検討委員会 設置要領
趣旨
第1条 この要領は、「北海道生活困窮者ネットワーク」のあり方に関する検討委員会
(以下、「委員会」という。)の設置及び運営に関し必要な事項を定めるものとする。
設置目的
第2条 北海道内における生活困窮者支援のつながりづくりを目的として「北海道生活困窮者ネッ
トワーク」(以下、「道困ネット」という。)の構築に向けた、助言及び提言等を行うため委員会
を設置する。
所掌事務
第3条 委員会は、次に掲げる事項について所掌する。
2 道困ネットのあり方に関する助言・提言
3 その他委員会の目的を達成するために必要な事項
組織
第4条 委員会は、別表に掲げる者で組織する。
2 委員の任期は、委嘱した日から年度末までとする。ただし、委員が欠けた場合における補欠
の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
委員長
第5条 委員会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 委員長は、会務を総理する。
3 委員長に事故があるときは、委員長が委員の中からあらかじめ指名する委員長代理者がその
職務を代行する。
運営
第6条 委員会は委員長が招集し、委員長が議長となる。
2 委員会は、第2条に掲げる事項について審議し、決定する。
3 委員会には委員長が必要と認めるときは、委員以外の者を出席させることができる。
庶務
第7条 委員会の庶務は、NPO法人コミュニティワーク研究実践センター生活困窮者支援事業推
進室において処理する。
その他
第8条 この要領に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮り
定める。
附則
この要領は、令和3年7月 1 日から施行する。

 

委員一覧

役職 名前 備考
委員長 菊地 英人 北海道 根室振興局保健環境部社会福祉課 地域福祉係長
委員 吉村 寿人 NPO法人しりべし圏域総合支援センター くらし・しごと相談処しりべし 主任相談支援員
委員 相原 真樹 一般社団法人釧路社会的企業創造協議会 事務局長
(釧路市・釧路管内生活相談支援センターくらしごと)
委員 山中 啓史 一般社団法人札幌市一時生活支援協議会 理事
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN 主任相談支援員
委員 岡田 博之 社会福祉法人 北見市社会福祉協議会 生活支援課 生活支援係長
北見市自立支援センター 主任相談支援員
委員 切通 堅太郎 一般社団法人北海道総合研究調査会(HIT)
調査部長、東京事務所長

委員長メッセージ
北海道 根室振興局保健環境部社会福祉課 地域福祉係長
菊地英人
長引くコロナ禍により、人や地域のつながりが断たれ社会的孤立に陥る人を増やすこと
となりましたが、同時に支援者側もこれらの方々にしっかりと寄り添って支援することが
できているのかという葛藤を抱えながら、支援者自身も孤立が進んでいる状況が見られる
ようになりました。
北海道では、生活困窮者自立支援制度が施行された翌年から「道央圏生活困窮者自立支
援事業担当者情報交換会」を開催し、支援者同士のつながりを構築してきたものの、新型
コロナウイルス感染拡大に伴い開催を取りやめざるを得ず、現在に至っています。
しかしながら、このコロナ禍だからこそ支援者同士がつながることでお互いを支え合
い、安心して支援を行うことができる環境づくりが必要であることから、続・後方支援プ
ロジェクト内の協議体として、「北海道生活困窮者ネットワークのあり方検討委員会」を
立ち上げ、ネットワーク構築に向けた議論を進めることとしました。支援者を支える仕組
みを官民問わず様々な立場の方からの意見を踏まえて検討していくことが必要であると考
えておりますので、多くの皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 


 2.北海道支援情報ナビの開発

情報集約・情報提供体制の構築

2-1

概要
「北海道支援情報ナビ」は、情報集約・情報提供体制の構築のため、連携自治体の支援
メニューの収集および、「自動応答チャットボット」を通じた情報提供を目的として開発
を行った。これは、コロナ禍で相談が急増する中、相談者が適切な相談窓口に迅速に繋がるための仕組みをつくることで、相談員の負担を減せないかといった意図からスタートした取り組みである。
実際に開発を進める中で、単に生活困窮者自立相談支援機関における制度周知の取組、
アウトリーチの取組として機能するだけでなく、相談支援機関の相談員の知識向上にもつながる取組としても機能することが期待された。
LINE を利用した「自動応答チャットボット」のプログラムは、静岡県の NPO 法人
POPOLO が作成している「POPOLO 生活相談ナビ」を参考にしながら、その開発にあたった市川氏(Code for Japan)の協力を得て、開発に取り組んだ。これは、いわゆる AI による自動応答や、電話に代わる有人相談のための LINE ではなく、あらかじめ用意した支援メニューのツリーをたどっていって、適切な相談窓口の連絡先へ誘導するためのナビゲーションボットである。
開発の流れ開発に当たっては、製作チームとして、後志振興局、釧路市・岩見沢市の自立相談支援機関担当者と共同でデータ作成、開発を行った。
まず、北海道支援情報ナビへ登録する支援メニューの精査や、地域によって使える/使
えない支援制度、特定の地域にしかない子ども食堂やフードバンクといった社会資源の情報などの情報を集める範囲・収集方法の検討と並行して、北海道支援情報ナビの動作として、地域から選択するのか、困りごとから選択していくのかといった基本的な動作から検討が必要となった。
結果、「お金のこと」「仕事のこと」「家族関係のこと」「心とからだの悩み」「緊急の困りごと」困りごとを5つのカテゴリに分け、それぞれ役割分担を行い、全道で利用できるメニューを中心に精査登録を行い、その後、各地からのフィードバックを得て、さらに情報を追加していくという方針を定めた。結果的に、膨大な作業が発生し、地域ごとに分類するといったところまではたどり着けなかったが、一定、支援メニューを網羅することができたと考えている。
北海道支援情報ナビのゴール(相談窓口への連携表示)としては、基本的に相談先とな
るホームページなどに誘導。必要に応じて友人の LINE 相談につないだり、直接電話番号などの問い合わせ窓口を表示したりしている。

 

利用したツール
各カテゴリの担当者が情報調べ整理した支援情報の整理には、X-MIND というマインド
マップを作成するためのツールを利用してデータを整理、支援メニューとなるツリーを作
成していった。
また北海道支援情報ナビの作成にあたっては LINE Bot Designer を利用してメニュー作成
を行い、生成されたメニューデータを、Google Dialog Flow に登録、LINE 公式アカウントと
連携させるという流れで作成している。

CR-ASSIST 代表
四井 恵介(よつい けいすけ)
1979 年生まれ。2004 年 9 月 大阪市立大学卒業。2016 年 9 月 大阪府立大学大学院修了。
有限会社 CR-ASSIST 代表。専門は地理学、観光学、地域福祉。学生の頃より、ホームレス支援、生活困
窮者支援関連の全国調査に関わる。“Community Based Research Office”をキーワードに地域福祉の観点か
ら NPO、社会的企業、まちづくりを支援している


 

2-2

「北海道支援情報ナビ」の紹介
北海道支援情報ナビは、次の QR コードから友達登録可能となっている。

先に定めた 5 つのカテゴリをたどっていくと、今回整理した支援情報へつながっていく
形である。次のページに支援先の一覧を掲載している。

先に定めた 5 つのカテゴリをたどっていくと、今回整理した支援情報へつながっていく
形である。次のページに支援先の一覧を掲載している。

2-3

今後の展開
現在、β版として公開して以降、169 アカウントからの登録があった。相談支援機関の相談員が中心ではあるが、フードバンクイコロからの小包発送の際にも案内を同封してもらっている。3 月の段階で既に LINEBOT の食べるものがないというメニューをたどって、フードバンクの食糧支援を希望したひとが 9 件となっており、確実にアウトリーチとして機能することがわかった。フードバンク利用希望者には、食糧支援とあわせて自立相談支援機関につながるような案内を行っている。
今後の展開としては、LINEBOT で案内する相談窓口の URL や情報のアップデート、さらに道内各地の相談支援機関から、LINEBOT に載せる情報を集約、更新する体制整備を進めていきたいと考えている。
北海道庁 DX 推進課との連携今回、LINEBOT のゴール(相談窓口への連携表示)としては、基本的に相談先となるホームページなどに誘導。必要に応じて LINE 相談につないだり、直接電話番号などの問い合
わせ窓口を表示するなどした。結果、リンク先がすべて外部となるため、リンク先の都合で URL が変更になるなど、表示した制度や窓口が突然終了しているといったケースがでてきてしまう結果となった。
そこで、北海道庁の DX 推進課の協力を得て、北海道オープンデータポータルに情報を整理、アップロードしてもらうこととした。(https://www.harp.lg.jp/opendata/)
現在、次のようなものの一覧が登録され、CSV 形式でダウンロードできるようになっている。さらに今後、増えていく予定である。
・ 道内の地域包括支援センター設置状況
・ 道立保健所一覧
・ 北海道内の児童相談所一覧
・ 生活保護の相談・申請窓口一覧
・ 障害者就業・生活支援センター一覧
・ 精神障がい者地域生活支援センター
・ 障害児通所支援事業所・入所施設
・ 障害福祉サービス事業所
・ 道税に関する問い合わせ先・提出先
・ 住宅確保要配慮者居住支援法人及び主な支援対象者一覧

オープンデータポータルでは、情報が更新されても URL が変わることがないため、リンク先や制度・支援機関の一覧といったものについては、オープンデータポータルの CSV を参照して LINBOT 側に情報を表示する仕組みを構築していきたい。
フィードバックのお願い
使ってみた感想に加え、情報を新た市区掲載したほうがよい情報、古くなっている情報、今後の対応となるが、特定の地域だけで展開している社会資源(子ども食堂等)の情報についても、メニューの右下、「ご意見はこちら」というところから送信をお願いしたい。
ご意見フォーム
URL: https://forms.gle/96jxDN4a2RsrnhNXA


3.各事業報告

生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供

3-1

各事業概要
「Ⅲ 生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供」として、7 つの事業を
実施した。ここでは、最終報告会で発表いただいた資料をもとに、各事業の取組を紹介す
る。

① 情報デジタル化応援窓口の活用支援
「北海道 NPO のデジタル化相談事業」
北海道 NPO サポートセンター理事・事務局次長 定森 光
② SNS 相談窓口の開設支援
「LINE WORKS 導入支援事業」
株式会社シージェイシステム 代表取締役 成田 禎仁
③ シェルター広域連携推進事業
株式会社 PLOW 代表取締役 神 輝哉
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN 相談員・理事 小川 遼
④ こころの SOS(カウンセリング)事業
札幌南徳洲会認定臨床宗教師観音寺住職 米本 智昭
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN 相談員・理事 小川 遼
⑤ オンライン就労準備プログラム
NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター事務局長 湯澤 真吾
⑥ 地域ジョブコーチ育成プログラム
NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター理事長 穴澤 義晴
⑦ フードバンク窓口連携支援事業
フードバンクイコロさっぽろ 代表理事 片岡 有喜子

 

3-2

①デジタル化応援窓口の活用支援
「北海道 NPO のデジタル化相談事業」
②SNS 相談窓口の開設支援
「LINE WORKS 導入支援事業」
目的:コロナ禍においてニーズが見えたオンラインツールの導入ではあるが実装は進まな
かったことを受け、その背景にある IT 化へのハードルを下げ、「デジタル化相談窓口の
開設」「オンライン相談(LINE WORKS)の導入支援」を通じて、支援機能の強化・社会
資源の拡充を図ることを目的として実施した。また、6-3.関連プロジェクトの子育て
LINE 相談は②の延長として、SNS 相談を行った。
北海道 NPO サポートセンター理事・事務局次長
定森 光(さだもり ひかる)
1986 年生まれ。名古屋出身。札幌市在住。
3 年間の会社員を経て、ホームレス支援団体ささしまサポートセンター(名古屋)の職員になる。
2016 年 4 月に北海道に移住、NPO の中間支援団体である北海道 NPO サポートセンターに勤務。
団体同士を繋げるネットワークづくりなどしている。「北海道 NPO デジタル化相談事業」担当。
株式会社シージェイシステム 代表取締役
成田 禎仁(なりた よしひと)
株式会社シージェイシステム 代表取締役 主たる事業は通信工事業を営みながら LINE WORKS や Google
のパートナーをしながら IT のコンサルティングを行っています。 2013 年 7 月テレビ東京の WBS、トレ
たまの取材を受けたこともあります。

事業を通じての感想
本プロジェクトを通じて困窮者支援団体等のデジタル化を推進することができた。デジ
タル化をする上で団体によってはいくつもの壁がある。例えば、ICT ツールは様々ものが
あるが、自団体に相応しいものがどれかを把握するのが難しい。また、ICT の知識がない
ために、活用することによるメリットがイメージできないという問題もある。
本事業では相談窓口を設けることで支援団体の抱える漠然とした悩みに伴走支援をし
て、適切な ICT ツールに繋げたり、導入のサポートをすることができた。特に LINE 相談に
ついては専門家によるサポートがあることで、開設から運営までを円滑に進めることがで
きた。
チラシ等で相談窓口の告知はしたが、ICT 活用によるメリットや活用方法についてのイ
メージが十分に団体に伝わらなかったのは課題である。実際に導入している団体の活用事
例を聞ける機会を設けるなどの工夫が必要であった。LINE 相談に関しては負担感・効果的
な活用方法が事前に分かることで導入の壁が下がると考えられる。本事業で導入をした団
体の活用事例を聞く場面などを設けられるとさらなるデジタル化の推進が図られると思わ
れる。(定森光)
限られた時間の中でのサポートなので十分ではなかったことは悔やまれますが予想して
いたとおり、情報量の肥大化で組織内の効率にも目を向ける必要があるのでその辺りもサ
ポートしていきたいと考えています。
デジタル化を行うと「忙しさが増すという意見」が
ありますが、逆に今まで眠っていた情報がたくさんあ
るということだと感じています。
また、この様な活動を通じてワークスモバイルジャ
パンさんに NPO プランを作っていただいたことは最
大の成果かも知れません。
https://line.worksmobile.com/jp/pr/20220221/
申込み組織が増えていき、もっとサポートすること
が支援される側への効果が発揮されると思います。
(成田 禎仁)

3-3

③シェルター広域連携推進事業
ホテル借上げ型シェルターを用意し、シェルター未設置自治体にシェルター機能提供す
るための事業。
コロナ禍で集客が落ちたゲストハウスに声をかけシェルターとしての利用を依頼すると
ともに、ゲストハウス同士のネットワーク化を進め、広域で対応できる仕組みづくりを行
った。これは同時に一時生活支援事業未実施自治体へ向けた、支援スキルのシェアと実績
に基づいた予算確保の働きかけを行うことを目的として実施した。
また、このプロジェクトの延長として、6-3.関連プロジェクトに詳細を記載しているが
「シェルターから住居へ」として、シェルターとして利用可能であり、希望に応じて恒久
的な住まいとしても利用できる部屋を複数確保する居住支援の取組も実施した。
株式会社 PLOW 代表取締役
神 輝哉(じん てるや)
札幌市北区にて、旅人向けのゲストハウス UNTAPPED HOSTEL を運営。2022 年 10 月より新刊書店と住
居喪失者向けのシェルターを併設する Seesaw Books を開業する。札幌出身のギリギリおじさん。
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN
相談員・理事
小川 遼(おがわ りょう)
北海道大学文学部卒。学生時代よりホームレス支援に携わる。現在、一般社団法人札幌一時生活支援協議
会理事・相談支援員。北海道の労働と福祉を考える会副代表。自分の悩みライター。

 

シェルター広域連携推進事業 利用の手引き
事業概要
本事業の目的は、一時生活支援事業(シェルター事業)を実施していない自立相談支援
機関による、住居を喪失した困窮者への対応を支援することである。具体的には近隣の宿
泊施設を利用する際の宿泊費・食費の支出及び、あらかじめ連携の用意のあるゲストハウ
ス等への紹介を行う。
利用基準
一時生活支援事業を模した事業であるため、利用の基準は一時生活支援事業の基準に
準じるものとする。すなわち生活保護受給者でなく、かつ一定の収入及び資産の基準を満
たしていることが原則である。しかし基準は援助の柔軟性を妨げるものであるべきでは
なく、緊急性の認められるときにはこの限りではない。
また想定利用日数は1~3 日程度であるが、やむをえない場合には期間を超過すること
も可能であるものとする。
※一時生活支援事業実施自治体の自立相談支援機関が利用する場合については、宿泊費
用は一時生活支援事業にて負担する事。
利用の流れ
利用の方法は2通りある。①宿泊施設を自立相談支援機関が自力で確保できる場合、
②リストに示されたゲストハウス等を利用する場合である。ぞれぞれ利用の流れは以下
の図の通りである。

シェルター広域連携推進事業で各種様式は後方支援プロジェクトのページ
ダウンロードできます。
ダウンロード URL:https://tinyurl.com/yc66eara

事業を通じての感想
○自立相談支援機関とゲストハウスのパイプ役として
本事業を担当し、全道各地のゲストハウスとの連携網を作り、一時的なシェルター転用
を促すことで、住居喪失した人、そしてコロナ禍で同じく苦境に喘ぐ観光用の宿泊施設(ゲ
ストハウス)の両者にとって助けになる仕組みを作れたのは大きいと思った。私自身も後者
のゲストハウスの経営者であり、空室の部屋の利活用がそのまま社会貢献になる意義は大
きいと思った。事業実施期間内に新たな提携ゲストハウスの利用はなかった為に、実際行
った際にどのような問題が発生するのかなどの検証はできなかったものの、今後同様の事
態になった際に速やかにこの仕組みを援用できる体制が整ったことは生活困窮者支援にお
いて、新たな前進だろう。


○ゲストハウスとしての感想
本事業において、上記の担当に加え、自立相談支援機関とゲストハウスを繋ぐ役割も行った。これまでの宿泊業としてのノウハウを活かせること、スタッフの雇用を守れることなど、メリットも大きく非常に助けになった。これまでは観光一辺倒でしか考えられなかった施設の空間利活用という点でも、その可能性を広げるものである。ホテルなどの大規模施設と異なり、小さな自治体にも存在するゲストハウスがこのような形での一時的な運用を行うことでセーフティネットが網の目状に広がり、迅速な寝床確保になることは相談者や相談支援機関、更には施設側にとっても、良い仕組みだと思う。(神輝哉)

 
○シェルター広域連携推進事業報告
シェルター広域連携推進事業は、各地の自立相談支援機関にとっては、いわば一時生活支援事業のおためしのような事業だった。札幌のノウハウの共有も帳票類の提供などを通して部分的にはなされ、好意的な感想も頂いているものの、実施した機関はもしかしたらあたふたしたかもしれない。しかし「あたふた」はさけては通れないもののようにも思う。私は札幌市の一時生活支援事業を担う職員の 1 人であり、今回の事業では神さんの相談役といったポジションだったが、いまだにあたふたしていることが多いのである。未実施自治体の自立相談支援機関の方々には、ぜひあたふたに馴れていただいて、一時生活支援事業の実施を検討(ないし検討を要請)していただけたら嬉しいし、すでに検討・要請している場合は応援したい。緊急一時的な居所を確保できるということは、たとえ短期間であっても、その後の支援の展開を豊かなものにするための非常に強力で重要な一手になりうるものだから。(小川遼)

 3-4

④こころの SOS(カウンセリング)事業
孤独・孤立感を感じている相談者が、カウンセリングの専門家と話をすることで、生活困
窮者自立相談支援事業の相談員だけでは解決しづらい、こころのケアを行うことを目的と
して実施。個別カウンセリングとして、対面や ZOOM オンラインで実施したほか、オンラ
インサロンという形で定期開催も行った。相談者のみならず、相談員側の悩み相談につい
ても対応を行った。
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN
相談員・理事
小川 遼(おがわ りょう)
札幌南徳洲会
認定臨床宗教師・観音寺住職
米本 智昭(よねもと ちしょう)
1983 年生まれ。高野山大学文学部密教学科卒業。2011 年の震災を機に臨床の場に宗教者が関わることの
必要性を感じ、東北大学大学院文学研究科実践宗教学寄付講座臨床宗教師研修を修了する。
2018 年認定臨床宗教師となり、札幌南徳洲会病院に勤務し(非常勤)患者・家族・スタッフのケアに従
事。また、観音寺住職のかたわら、宗派を超えた僧侶が社会的資源として繋がるという「てらつな」活
動、オンラインによるこころの無料相談、様々な職種の市民が人生を語る場所「人生喫茶」などの運営
や、札幌市内夜回り活動などを行なっている。
3-4
48
1.事業の目的
本事業は生活困窮者が心理的な援助から排除されているという現状に着目したものであ
る。カウンセリングや心理療法への保険適用は未だ限定的であり、経済的困窮者が手軽に
利用できるサービスとはいえない。しかし一方で彼ら彼女らの多くが虐待や暴力、住居の
喪失、障害等さまざまな問題を複合的にかかえており、しばしばそれらにうちひしがれた
状態にあること、何らかの心理的な援助を求めていることを私たちはすでに知っている。
コロナ禍においてより拡大するであろう、こうしたニーズに応えることが一つの目的であ
った。また副次的な目的として、自立相談支援機関の相談支援員が上述のニーズに実体上
は応えざるをえない状況にあることに鑑み、本来担うべきとされる支援とは区別して捉え
ることのできる心理的援助の部分を外部化することで、業務改善を目指すものでもある。
2.方法
事業は以下の二つの方法により実施された。
・個別カウンセリング
札幌市ホームレス相談支援センターの利用者を対象として希望を募り、病院等での勤務実
績のある米本智昭(臨床宗教師)が個別の希望者にカウンセリングを実施。カウンセリン
グは対面や zoom、電話で行われた。1 月以降は支援業務に従事する者にも対象を拡大し
た。
・オンラインサロン
月に一度、zoom を利用し複数人が集まれる場を提供するというものである。ファシリテ
ーターを同じく米本が担い、また事前申し込み制とした。オンラインサロンについては各
自立相談支援機関に周知し、対象者を募った。
3.実績
利用実績はそれぞれ以下の通りである。
・個別カウンセリング
(利用者数・実施回数)

9月 10月 11月 12月 1月 2月 合計
実施回数 2 2 4 5 5 18
利用者数 2 2 2 2 4 12
うち初回利
用者数
2 0 0 1 2 5

(感想)

どうしても福祉と医療の狭間にある職域を超えた部分を担ってくれたのが有難いで
す。
自分は、こうやってアドバイスや忠告とかではなくて聞いてくれる人が欲しかったん
だと思います。適応を迫られる職場や人間関係で、そうではなくてもいいと受け止め
てくれるのは嬉しかったです。
医療や生活支援の事業所と繋いでくれるのは嬉しいけれど、まだまだエッセンシャル
ワーカーが足りないことを実感している。自分も同じように、いつかピアサポートと
いう形で誰かの声を聴くようになりたい。
言葉に出していくことで、考えが整理された。

・オンラインサロン(利用者数・実施回数)

日付時間参加人数概要
8 月 17 日13:00~参加者なし
9 月 15 日13:00~男性:1苫小牧市から 1 人
10 月 20 日13:00~参加者なし
11 月 10 日13:00~参加者なし
12 月 15 日13:00~参加者なし

4.所感・考察
まず、この事業を通しての実感について述べたい。過去 3 年間ほどにわたって月に1~
3回ほど札幌市ホームレス相談支援センターに来所しているクライアント(さしせまった
経済的課題はないが家族関係についての不満を抱えており相談支援員が話を聞いていた)
が個別カウンセリングを利用し、事業利用後には嬉々として感想を話しにきてくれた。そ
の感想によると、「考えていたことが整理」され、またいくつも「気づいたことがあっ
た」のだという。担当した米本智昭氏の技術ももちろんだが、あらたまったカウンセリン
グの場というものがもつ効果についても考えさせられた。これは後述する事業利用に至る
までのハードルと表裏一体であるが、このクライアントはカウンセリングの場に臨むため
事前に時間をかけて話すべきことを整理し、メモにまとめていたのである。つまりこの事
業が自分の抱えている問題について改めて向き合うきっかけになっている。心理的な援助
を通常の自立相談支援事業とは別のメニューとして用意することの意味が垣間見えたとい
えるだろう。
日付 時間 参加人数 概要
8 月 17 日 13:00~ 参加者なし
9 月 15 日 13:00~ 男性:1 苫小牧市から 1 人
10 月 20 日 13:00~ 参加者なし
11 月 10 日 13:00~ 参加者なし
12 月 15 日 13:00~ 参加者なし
どうしても福祉と医療の狭間にある職域を超えた部分を担ってくれたのが有難いで
す。
自分は、こうやってアドバイスや忠告とかではなくて聞いてくれる人が欲しかったん
だと思います。適応を迫られる職場や人間関係で、そうではなくてもいいと受け止め
てくれるのは嬉しかったです。
医療や生活支援の事業所と繋いでくれるのは嬉しいけれど、まだまだエッセンシャル
ワーカーが足りないことを実感している。自分も同じように、いつかピアサポートと
いう形で誰かの声を聴くようになりたい。
言葉に出していくことで、考えが整理された。
50
また他にも1時間前後の通話を頻繁に必要としているクライアントが事業を利用しても
おり、当自立相談支援機関の業務負担の軽減に貢献している。
個別カウンセリングは実利用人数5名、これは事業実施前に想定していた人数と一致し
ている。一方でオンラインサロンについては 1 名にとどまっており、伸び悩んだ。今回の
実施条件のもとではニーズを拾うことができなかったといえる。
個別カウンセリングについては、他にも興味を示す者はしばしばみられたものの、実際
にはそのほとんどが利用に結びつかなかった。慣れ親しんだ相談支援員には話せるが、新
しい援助者に話すとなるとそれなりの思い切りが必要な様子であった。しかしこのことは
先述のようにプラスの側面もあるのであって、単純にこのハードルを下げる工夫をするべ
きなのかどうかはわからない。かなり時間を置いてから利用に至るケースもあった。
また、なかには数時間におよんで自身の苦悩を話し続けたのちにカウンセリング事業の
利用を提案されると、話したいことは何もないと回答するというケースもあった。これに
は精神的・心理的な課題を抱えているとみなされることへのスティグマの問題がある可能
性があり、「カウンセリング」という名称を変えるなどすることで対応すべきかもしれな
い。

5.今後の見通し
当初はニーズの規模がわからないなか恐る恐る呼びかける状況だった。あまりに大きか
った場合は対応しきれなくなる可能性があったからである。実際にはこれまで述べてきた
通り緩やかなものであった。しかしそれはニーズの小さいことを意味しているわけでは必
ずしもなく、関心を示すクライアントは多いことから、事業利用に至るまでには時間がか
かるという事情も考えられる。であれば継続していくことで利用者は増えていくのではな
いだろうか。今後は何らかの方法で内容を発展させ、継続していきたい。

3-5

⑤オンライン就労準備プログラム
オンライン就労準備プログラムは、コロナ禍において実施に工夫が必要となった就労準備
支援事業のオンライン化の試験的取り組みとして実施した。特にグループ活動をベースと
したプログラムの開催については、かなり難しい状況となっていた。そこで通常の就労準
備支援事業の延長として、「少しだけかかわる機会」「話す場」を作ることを目的とし
て、オンライン(ZOOM)上で本プログラムを実施した。
就労準備支援事業を実施、又は未実施の自治体の相談員にも参加してもらうことにより、
各自治体での就労準備支援事業実施時の参考としてノウハウ提供の効果が見られた。
また、オンラインでは対応が難しい相談者に対し、オフラインでの野外プログラムも実施。
このプロジェクトの延長として、6-3.関連プロジェクトに詳細を記載。

NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター
事務局長
湯澤 真吾(ゆざわ しんご)
平成 18 年から若者支援に携わり。平成 24 年コミュニティワーク研究実践センターに入職。絆再生事業・
岩見沢市生活困窮者支援事業などに責任者として携わる。現在は、居住支援法人や生活支援付き住宅など
の事業責任者として活動している。現在、46 歳。座右の銘は、「水滴石を穿つ」趣味はダイエット。

 

 

まとめ(所感)
◎参加者は少人数であったが、毎回「少しだけオンライン上で交流する」という目的は達
成できたいように感じる。※年金受給者・聴覚障がいのある方も参加。
◎講師は教員を目指す大学生に依頼。学部や学校も異なることからバリエーション豊富な
プログラムが展開できた。
◎居場所的なオンラインプログラムのニーズは、もう少しあると思ったがイメージがつき
づらかったこともあり、参加人数は少なかった。
⇒オンラインであるため広域的な実施は可能と思われるが、知らない支援員の実施するプ
ログラムに参加するのはハードルが高いため、まずはそれぞれの相談支援機関等で実施し
た方がいい。
◎オンラインでのプログラムに支援機関の方が延べ 12 名参加し、今後の参考になったか
もしれないとのことであったため、本事業の「波及」という点では収穫であった。
◎無料低額所事務所内から居住支援法人の職員が中心となり実施。後方支援で実施してい
たシェルター利用者も参加していた。生活困窮者支援と居住支援の現場双方に意義はあ
り、孤立の問題は共通していることから今後より密な連携・社会資源の共有が必要と思わ
れる。

3-6

⑥地域ジョブコーチ育成プログラム
各自立相談支援機関では、相談者を受け入れ可能な企業開拓をそれぞれの地域で行ってい
るが、コロナ禍のなかで相談も増え、協力者獲得も含め苦慮していることが多い。また一
番の課題は、協力してくれる方々(企業)に対して、相談に訪れる方々の対象者理解をど
う進めていってもらうのかといった部分となる。
地域ジョブコーチ育成プログラムは、企業の担当者への対象者理解を深めること目的とし
たオンライン研修を実施した。生活困窮者が地域で活躍していく場をどうやって地域で協
働し作っていけるのかを考えてもらうことを目的として、対象は各自立相談・就労準備支
援機関と就労準備や 就労訓練等の受け入れを行う地域住民・受け入れ企業の方とした。
さらにプログラムに興味を持つ自立相談・就労準備支援機関の相談員も対象とした。

NPO法人コミュニティワーク研究実践センター 理事長
そらち生活サポートセンター所長
穴澤 義晴(あなざわ よしはる)
生活困窮者自立支援事業(北海道空知管内7市14町)/共同生活管理人(樺月荘)
JYC フォーラム(若者支援全国協同連絡会)理事/北海道社会的事業所支援機構理事
困りごとを困りごとで解決する!同じかまどの飯を食って、最初の一歩が始まる。
めんどくささの中に暖かさを感じて、田舎暮らしの毎日をおくる

 

 事業の振り返りと今後に向けて
全 5 回で行ったジョブコーチ育成プログラムであるが、当初想定していた、受け入れ先
の開拓も併せて実施することは、難しかった。参加団体の中には、地域の協力者の目星は
ある程度ついていて、地域協力者として誘う一歩にこのプログラムを活用してもらえたら
という目論見もあったが、継続して参加いただいた団体は、協力者をどう開拓すべきか?
そもそも就労準備事業等の対象者をどう確保すべきか等の段階にある団体が多かったた
め、参加団体に、当団体の地域協力者にインタビューする形で当事者理解・参加のきっか
け・困りごと・今後に向けてを語っていただいた形になった。
講座を進める中で、現状、各団体が就労準備プログラム等で、参加対象者の獲得をどう
すべきか?という話題が多く出てきて、ゆっくりと時間をかけてプログラムを実施する経
済状況にない相談者に、就労準備支援プログラムをどう提供できるのか?地域協力者開拓
というより、プログラム実施の方法についての情報交換が多く行われた。
就労準備プログラムを地域の協力者(ジョブコーチ)を獲得しながら、今後進めていく
ためにも、就労準備および就労訓練をどううまく活用して解決の道を探っていくのか?こ
の部分に焦点を今後あてて、情報交換の場・モデル等の実施に向けて取り組んでいければ
と思う。(穴澤義晴)
動画 URL:https://youtu.be/oE6X9vOvESg

3-7

⑦フードバンク窓口連携支援事業
フードバンク窓口連携事業は、食事がままならない状態にある、生活困窮者へ迅速にフー
ドバンクの食品を届けることを目的として、①生活困窮者自立相談支援機関の窓口での配
布セットの提供や、②個人向け小包の配送を行った。個々の窓口で食品確保等を行うので
はなくフードバンクとして連携することで、パッキング・仕分け及び管理にかかる労力の
負担軽減ができた。
加えて、③これまでのフードバンクイコロに直接連絡をいただく利用者へ、「北海道支援
情報ナビ」の案内を同封することで、支援ニーズを把握、生活困窮者を早期に発見、支援
機関につなぐアウトリーチの仕組みとしても機能することを意図して実施した。(3 月配
布開始実績9件)
本来、フードバンクは事業所側に取りに来てもらう形が主体であるが、コロナ禍における
移動・引き渡し時の接触機会、窓口側の負担軽減、長距離間連携を目的として、宅配便に
よる対応を行った。
フードバンクイコロさっぽろ
代表理事
片岡 有喜子(かたおか ゆきこ)
1977 年生まれ。北海道十勝の酪農地域で育ったことで食品に関心を持つ。
20 代はレストラン、カフェ、デパ地下で働き、自らも食品を廃棄し胸を痛める日々を過ごす。
大学卒業時に就職氷河期にあたり、ワーキングプアの状態を長く経験。
後に社会保険労務士事務所で働き、病気・障害・事故などで突然生活に困る方を見て、食品ロスと困窮者
支援をつなげたいと札幌市東区を拠点に 2018 年自宅の一室からフードバンクを立ち上げる。
現在は年間約 20 トンの食品を社会福祉施設や困窮世帯へと渡している。

相談支援窓口からのアンケート回答結果
43 か所のフードバンク窓口連携支援事業の連携先である、相談支援機関の方たちに、フードバンクの窓
口連携事業についてアンケートを実施。18 件から回答ありました。

<連携窓口での活用事例>
・「年金受給まで食料がない方」「保護費受給まで食料がない方(生活保護受給者)」「保護費受給まで
食料がない方」「自立相談支援機関で定着支援中に離職した方」といったように、利用できる制度がな
く、次の収入が入るまでの繋ぎの食料支援として活用がほとんどである。生活保護の受給は該当せず、貸
付も対象とならないケースでの利用が多い。
ほかにも、新規の相談者でお金がなく食料がない方、家計が急変して余裕がなくなった世帯、新型コロナ
ウィルスの影響により減収した方、闇金の返済に追われ生活苦になっていた者への即時的な支援として利
用している。
<窓口からの感想>
・生活困窮者自立支援制度では提供する食料の予算がないため、相談員の安心材料にもなる。
・アレルギーにも配慮してもらった。
・電気やガスを止められている相談者も多いため、なるべく調理不要な食品を依頼した。
・窓口配付セットはアウトリーチにも活用でき、自宅訪問する理由にすることができた。訪問により生活
状況を把握できるという点でも役に立った。
フードバンクから相談窓口への繋ぎ(アウトリーチ)の効果
本事業で培われた連携機能により、フードバンクに直接食品提供を依頼した方 24 件の内、4件を具体的
に連携先の生活困窮者自立相談支援機関や社会福祉協議会の窓口につなげることができた。
自身ではうまく相談できなかった方が、連携・情報提供(本人同意)をしたことによって貸付に繋がった
ケースやフードバンク提供の過程で困窮度が深刻化し、最終的には住居を失ったケースや生活保護に抵抗
感があるライフラインが止まってしまった外国人の相談など多岐にわたる相談を生活困窮者支援機関に繋
ぐことができた。
誰も相談に乗ってくれないという孤立感を抱えている方も食品提供(具体的な逼迫状況への支援)を通す
ことにより不信感が和らぎ、その後の支援につながるという効果を感じている。
71
①窓口配布セット 配布拠点リスト(15 か所)

機関名回数
三栄荘8回
三笠社協9回
りんく17回
そらさぽ3回
くらしサポートセンターえべつ3回
しんぐるまざあず・ふぉーらむ22回
当別社協 ゆとろ1回
ねむろ日常生活サポートセンター2回
なかしべつ生活サポートセンターよりそい5回
一社)釧路社会的企業創造協議会4回
根室社協1回
くらしサポートセンターとうべつ・しんしのつ2回
留萌生活あんしんセンター1回
オホーツク相談センターふくろう3回
釧路市生活相談支援センターくらしごと1回
合計115回

窓口配布セット配布実績

その他
日用品や支援情報資料等もひとり親支援機関等を通し、食料品と合わせて配布した


② 個人宅配送支援 窓口連携拠点からの依頼による個人宛小包(206 件)
※6月以前はいのちとこころを守る SOS 事業

③(参考)イコロフォーム(個人宛小包)(イコロ独自事業、1672 件)

配布データ分析結果
窓口配布セット配布実績からは、フードバンクへ繋がったのは感染拡大の影響の大きい
冬場の時期に増えている傾向がみてとれる。
相談支援窓口経由と、フードバンクイコロ経由の配布数と傾向は次の通りである。
<相談支援窓口経由(主に生活困窮者支援機関・社協)>
①窓口配布セットの提供(窓口に配置)15 か所 115 回配送 2614 日分 7,842 食分
②個人向け緊急食糧郵送支援(相談者宅に配送)35 団体 206 世帯に自宅等へ配送
<フードバンク経由>
③フードバンクイコロに直接食糧支援を申し込み(別事業での実施)1,672 世帯に配布。
「北海道支援情報ナビ」を配布し支援情報を検索できるように情報提供を行った。
それぞれの利用者の属性を見ると、相談支援窓口経由とフードバンク経由では相談者像
に明らかな違いがある。これまでのフードバンクイコロの利用者は子育て世帯・女性のひ
とり親などが多かったが、今回開始した生活困窮者自立相談支援機関等の窓口では明らか
に単身男性の割合が高くなった。相互にこれまでリーチできなかった層へアクセスするき
っかけになっている。なお、今回の数字には一部連携未実施団体からの要請や本人からの
SOS が含まれている。未実施団体については次年度以降連携を広めていきたい。また、各
地のフードバンクが立ち上がっているため、それらを活用できるようにフードバンク同士
のつながりを持っていく必要がある。
事業を通じての感想
昨年の「後方支援プロジェクト」から継続された 2021 年度は、更に 19 カ所の相談窓口
と連携を開始することができました(累計道内 43 カ所)。フードバンクは日々の業務と
して、主に企業からの食品受取に関する調整と届いた食品を福祉施設・子ども食堂へとマ
ッチングすることに集中しています。同時にひとり親世帯への小包発送やパントリーを行
っており、コロナ禍で深刻なマンパワー不足に陥っていました。食のセーフティネット構
築を活動目的に掲げている団体として、食事に困る人と繋がることができない、また繋が
ったとしても専門分野ではないため生活の立て直しに役立つ相談に乗ることができないと
いうジレンマをずっと抱えておりました。
今回のプロジェクトはこのフードバンク側の悩みに少しずつ、しかし確実にアプローチ
するものでした。そして、相談窓口職員の方からの最終アンケート結果を見ると、それは
同時に窓口サイドの悩みの解消になっていることがはっきりと分かりました。
お互いに必要としている者同士がこのプロジェクトで出会い連携をスタートできたのだ
と実感し、困窮者の自立支援の中で「緊急時の食料確保」という部分でのフードバンクの
役割を改めて自覚できるものでした。北海道での今後のフードバンクの役割を確立する点
でも、来年度以降も連携を継続してまいります。(片岡有喜子)


4.事業評価アンケート

事業評価アンケート概要
目的:
今回のプロジェクトの効果検証を目的に各プロジェクトに対する効果検証のためのアンケ
ートを実施した。
調査対象:
情報交換会の案内を送付した道内の福祉事務所設置自治体
( 35 市+14 振興局=49 自治体)
情報交換会に参加した生活困窮者自立支援事業受託団体
回収:
自治体 15、受託団体 32 の合計 47 団体から回答を得た。
情報交換会に参加した多くの自治体・団体から回答をいただいた。
情報交換会に不参加の一部自治体・団体からも回答をいただいている。
情報交換会に 1 回でも参加したことがある団体は 37/47 団体となっており
うち、自治体 7/15、受託団体 30/32 である。
自治体で参加しているのは、直営のところが多く、不参加の自治体の多くは委託元の部署
となっている。

アンケート結果
情報交換会の参加状況(n=37)
情報交換会に一度でも参加したことのある 37 自治体・団体の参加状況
メンバーの入れ替わりがありつつ、高い参加率を示している。

情報交換会に参加して(n=36)
9 割以上が役に立ったと回答
とても役に立った 36.1%、役に立った 55.6%
参加できなかった=アンケートのみ回答 となっている。

次年度(令和 4 年度以降)の継続(n=36)
8 割以上が今後も継続してほしいと回答

次年度継続開催する場合の希望開催頻度
開催頻度の希望としては、年 1-2 回が最も多く 36.1%
3-4 か月に 1 回が 30.6%、年 6 回が 25.0%とばらつきが多い。
毎月開催希望も 8.3%あった。

開催内容についての希望(n=35)
テーマ別のディスカッションが最も多く 62.9%
講師を招いた勉強会が 48.6%などとなった。
その他としては「経験年数が近い人たちでの情報交換」「細事業別テーマ設定」と同様の
状況にある他機関の相談員との情報交換が求められている。

対面開催の可能性(旅費や時間の確保)
札幌を想定した場合、参加が難しいとの回答は 4 件(10.8%)のみ。
頻度に違いがあるが、多くの自治体・団体は参加できると回答。
その他回答は、札幌に近いところのため問題ないとの回答

情報交換会について(自由記述)
⚫ 主任相談支援員同士のつながりが欲しい。 ・初任者の相談員同士場があるとよい
のではないか。 ・学習支援、一時生活の話ができる場がありそれぞれ情報交換で
きるとよい。
⚫ 他管内も含めた会議には、一定の成果や意義があったものと推察する。 ・年数回
開催にせよマンネリズムに陥らないよう、趣向を変えた会議にすると良いのではな
いでしょうか。
⚫ 名簿はいただいておりますが、やはり会ってお話しし、名刺交換もしたいところで
す。コロナ禍が落ち着いたのちは、現地開催を希望します。 ・道央圏生困担当者
情報交換会と内容が似てくる恐れがあり、棲み分けが必要ですね。
※ 認定就労訓練事業:先進の事例や工夫などを知りたい。 ※就労準備支援事業:
対象者の掘り起こし方や活動内容を知りたい。 ※上記以外にも、各地域の就労
や生活、住居等の社会資源の実情を知りたい。
⚫ 年2回ぐらいは現地開催となればいろいろな方が集まれそうな気がする
⚫ コロナの状態が落ち着いたらリアルでの開催を希望します。
⚫ まだまだ、1年目ですが、皆さんの取り組みとか、状況をうかがえることができ
て、ためになります。これからも続けてください。
⚫ 開催時期については、遠方という事もあり冬期間は交通機関の乱れ等の心配もある
ため雪の時期を避けて欲しい。
⚫ 主催側の負担を考慮し、無理ない回数の実施が良いのではないか。

⚫ 前回自治体間の情報交換会に参加しましたが他市町村の取り組み状況や課題を伺い
情報を共有することができて非常に有意義でした。
⚫ 全道規模で行う場合、移動に時間を要するため、オンラインでの開催を希望しま
す。
⚫ 冬季開催だと悪天候もみられると思うので、冬季以外での開催を希望いたします。
⚫ 同程度の経験を有する方々で集まれるとよいと思う。

支援メニューの利用状況
すべての後方支援メニューに生活困窮者支援機関からの利用が見られた。
特にフードバンクの連携は 31.9%が利用、51.1%が検討。
シェルター連携は 31.9%が検討。
情報交換会不参加アンケート未回答で支援メニュー利用した団体もある。

 

支援メニューの評価
利用が多かったフードバンク、シェルター事業は今後の継続希望が多い
本プロジェクトによらない形での予算化検討もわずかに見られた
利用者が少なかった事業は、仕組みの改善が必要との意見も多い

 

支援メニューについての意見
⚫ シェルターについて、利便性はあるますが、継続性が望まれる事業であるため、安
定した 予算の上での実施が望ましいと思います。 ・オンライン就労準備につい
て、オンライン環境はないが、自宅での参加を希望される方も いることから、今
後支援メニューが継続される場合、PC・ポケット WiFi の貸出などへ拡充していた
だけると良いと思います。 ・フードバンクについて、支援者・相談者に非常に有
用でありますが、一団体のみが担う体制のままでは、全道に浸透し利用が増加した
場合、「フードバンクイコロさっぽろ」の負担は重く、対応に限界がでてくること
が懸念されます。全道各地のフードバンクに体制を広げ役割分担や地区割を行うこ
とが良いと思います。
⚫ 仕組みの改善にチェックした事業は、パッと事業イメージを湧かせられるものでは
無く、分かりやすく、訴求されやすい形で提案されたら良かったのではないだろう
か。 ・着想に違和感が無いだけに、惜しい気がする。 ・こころの SOS 事業は、類
似の委託事業として都道府県単位で産業カウンセラー協会が受託しているサービス
もあり、既存の社会資源とドッキングさせた提案でも良いものもある。 ・全てに
おいて新規独創性を発揮する必要は無く、既存社会資源の活用も検討されるべき。
⚫ する側の改善が必要ではなく、受ける側(支援機関等)が工夫しなければいけない
と感じた。まずは、必要な人が受けられるように周知を工夫することが必要だと思
う。
⚫ 当センターより、地域ジョブコーチ育成プログラム, オンライン就労準備支援プ
ログラムに参加。本年度、手探りだった点を、焦点を定めて具体的にしていく段階
にあると考えます。 また、小規模事業所にこそよい機会だと思いましたが、参加
事業所が少ないことが課題。 就労支援や就労準備の成功体験が希薄で、向上心が
持てないのではと心配です。

他にどういった事業があると望ましいか
⚫ 心のカウンセリング。身体異常時の早期治療。アクセスしやすい社会資源の情報提
供。 ・要支援者へ効果的な支援が展開できるよう、スキルアップ勉強会の定期開
催。
⚫ 胆振地区は、周りを市に囲まれているが、市の社会資源が使えない。 例)苫小牧
市で行っている就労準備支援事業が、隣町の白老町の相談者が利用できない ・社
会資源が少ない町村と市との連携仲介や構築事業等があると助かります。
⚫ (厳格なルールが必要ですが…) MIXI のコミュニティみたいなところでの語りの
場(支援者同士)
⚫ 各地域・各事業の取り組み状況や特色がわかるようなものを作成してほしい。 任
意事業ごとの分科会的な情報交換会の場を作ってもらいたい。
⚫ 各地域での工夫や取組事例を知りたい(試行錯誤も含めて)
⚫ 少額の給付や貸付、対象者に貸付した物品等の破損や紛失時の保険のようなもの。
⚫ 職員等の人材確保の取り組み
⚫ 当方で不要としたテーマ含め、小規模事業所を前提にいずれも継続が望ましい
その他意見
⚫ 若い世代の支援者の育成
⚫ この度、シェルター広域連携推進事業を利用させていただきました。北広島市では
一時生活支援事業を行っておりますが、今回の対象者が核家族 4 人世帯であったた
め、当市 1 名の利用定員枠を超えておりました。世帯を分けるよりもやはり 1 世帯
ごと利用させていただくことが、対象者のストレスや負担を軽減すると考えており
ましたので、今回の札幌市のシェルターでは 4 名同時に受け入れていただき、とて
も助かりました。現在は、対象者のうち 3 名が制度へのつなぎを行い(北広島市→
市外)、1 名は北広島市にて継続支援を行っています。
⚫ シェルター広域連携やフードバンク窓口連携支援において、後方支援により繋がる
ことができ、支援の手段と幅が増えた。
⚫ シェルター事業も利用実績は無いものの、精神的負担がかなり軽くなっています。
継続してもらえると助かります。
⚫ フードバンクと繋がれて非常に助かっている。今日も一つ頼んだ。
⚫ フードバンクは大変助かりました。それ以降、対象者が発見できずにいる状況。
86
⚫ 自治体の規模や地域性によって、後方支援を必要とするか、自前である程度解決で
きるかの差が大きいように思う。
⚫ 振興局レベルでは情報は届いていないと感じる。周知の仕方に工夫が必要である。
⚫ 多忙な日々の中で活用している余裕が無いという意見もありました。
⚫ 次回機会があれば,活用する可能性はあるのではと考えました。 支援者向けのS
OS事業は,支援者がお困り感を感じる前に,例えば経験の少ない支援者などがト
ライアル参加する機会などあってもよいかもしれません。 フードバンク窓口連携
支援も,これから継続すると考えると様々課題も出てくるのですが,トライアル的
に活用できるチャンスがあれば,現場で支援方法の方法を検討できる良い機会かも
しれません

 

LINEBOT
36%が友達登録、28%が勧めてみたいと回答している。

LINEBOT へのコメント
⚫ 多くの機関が登録してこそ意味があると思います。LINEというツールの活用が
組織上難しい場合もあるかと思いますが、道などから登録を呼びかける等のフォロ
ーをいただけることを期待します。
⚫ 業務で LINEBOT を試用する機会が少ない,費用面のお話など十分お聞きしていな
かったため,導入を具体的に検討できませんでしたが,相談者には便利なツールだ
と感じます。 一方で,便利な広報手段の伝える難しさも感じます。例えば住居確
保給付金などの要件をどう伝えるか,気軽な文面で幅広くする必要性と,実際の適
用の難しさから,落胆させないか この件に限りませんが感じることはあります。
⚫ 支援機関とつながるためのツールというイメージがありました。 支援者向けの情
報ツールとしてはありがたいです。 正規版が配信された場合、当方のチラシなど
にQRコードを載せたいです。
⚫ 対象者が利用可能であれば、紹介をしていきたい。
⚫ 働けない(失業中)で試しに検索していくと、途中で生活保護や労災保険給付、と
いった専門用語が出てくるので、 その後、そのボタンを押せばわかりやすい説明
があるのですが、まずは言葉で止まってその次に進めないのではないか、と思いま
した。 例えば、労災保険給付は、「仕事を以前していた人」、生活保護は、「家
族からも支援が受けられず、お金がない人」 などと制度名ではなく状況で選択肢
をつくるとよいかも、と思います。

4-3

アンケート総括
情報交換会については、参加した方からの評価として「とても役に立った(36.1%」
「役に立った(55.6%)」というように 9 割以上が役に立たったと回答している。また次
年度以降も継続してほしいという回答が 80.6%であった。
開催頻度の希望については、さまざまであるが、開催場所については、オンラインの便
利さもある一方で、年 1-2 回なら、現地開催参加のための旅費や時間の確保ができる自治
体・支援機関が多いこともわかった。
支援メニューについては、使いはじめるまでのハードル(認知不足、不慣れ、遠慮)も
あり利用率は全体的に 10%未満のものが多い中、シェルター連携はは 31.9%が検討、フー
ドバンクは 51.5%が検討したと回答しており、フードバンクのように使い始めるとリピー
トするケースも多い。
北海道支援情報ナビについても周知、使ってもらうまでに課題があるものの、今後情報
をアップデートし、相談者、支援者両方が、広く利用していけるものになる可能性は感じ
ることができた。
そもそも、生活困窮者自立支援制度自体、当初は任意事業の実施率が低く、制度理解が
広がる中で、実施率が上がってきた経緯がある。今回提供した支援メニューのシェルター
事業、オンライン就労準備支援事業への反応から、任意事業の重要性が一定理解されたの
ではないかと考えられる。
情報交換会では、道全域の自治体・支援団体間で支援実態がはじめて共有されたとい
え、他地域の状況を知ることが支援のボトムアップにつながっていくと考えられる。
今回の参加団体は生活困窮者自立相談支援を直営で行う自治体と委託先の民間支援団体
が中心となっており、委託元となる自治体担当者の参加が少なかった。今後、一時生活や
就労準備等の任意事業の実施、予算化等を考えていくには、委託元となる自治体担当者の
意識も高めるための工夫が必要である。

 


5.総括

 続・後方支援プロジェクトから見えてきたもの

5-1

プロジェクトを通じて
ここでは、本プロジェクトの実施を通じて、特に効果が高かったと思われる 3 つの取組に
ついて改めて整理したい。
(1)支援者支援・情報交換会の効果
福祉事務所設置自治体においては、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮者自立相
談支援事業が実施されているが、その具体的な実施方法については、自治体の裁量による
部分が大きい。柔軟な対応ができる反面、参考となる事例が身近になく、担当者レベルで
事業方針を明確に定められないという面もある。特に任意事業については実施しなくても
よいという中で、自治体負担が発生することから予算の関係でなかなか実施に踏み切れな
い自治体も多い。
このような状況のなか、今回の続・後方支援プロジェクトでは、支援者支援の観点から
支援者間の「情報交換会」を開催するとともに、任意事業を実施していない自治体が、シ
ェルターや就労準備などのプログラムを試験的に活用し、予算化に向けた検討を行えるよ
うな支援メニューの開発・提供を行ってきた。
特に、情報交換会は、9 割以上が役に立ったと回答しており、継続希望も非常に高いも
のとなった。教科書的なものだけでなく、実際の支援者同士の意見交換を通じて、地域ご
との社会資源(住まいや仕事)の状況に応じた支援のノウハウ共有できたこと、就労準備
支援や学習支援といった個別支援の部分において、具体的な実施事例や実施にあたっての
課題を共有できた意味は大きく、継続することで支援機関のボトムアップにつながってい
くと感じている。ただし、情報交換会の運営に関しては有志による対応の限界や事務局の
負担も大きく、組織や予算などがない中での継続開催の難しさも同時に明らかになった。
また、日常的な情報共有の仕組みとして情報交換会からのニーズを踏まえ「北海道生活
困窮者ネットワークのあり方に関する検討委員会」での議論からスタートした LINE オープ
ンチャットにも、25 名の参加があった。ここでは、年末年始の相談窓口の開所状況、生活
困窮者自立支援統計システムの使い方の相談、相談者が相談の内容を録音・録画するなど
に対するトラブルへの対応方法、また、よりそいホットライン(社会包摂サポートセンタ
ー)が 2021 年度に実施した「Chankan プロジェクト」の情報共有もなされるなど情報共
有、意見交換の場として機能した。


5-1
今後も、運営体制を検討しながら、様々な形で情報共有の場づくりを行っていければと
考えている。同時に、全国各地で培われた支援者支援の取組みのノウハウを共有し、ネッ
トワークづくりや支援者支援を効果的に行うためにも、(顔が見えやすい地域間の)支援
者支援機関同士の情報共有の場づくりの重要性についても全国に発信していきたい。
(2)フードバンク窓口連携の効果
フードバンクの活動は企業等からの食品受け入れと、賞味期限が切れないうちに必要な
世帯や施設に届けるという物流の担い手という側面がつよく、この数年でフードバンクの
取組が全国各地に広がっているが、直接的な相談支援にまで携わる事は少ない。
フードロスという観点から企業から物資提供のニーズが高い一方、フードバンク自体は
人件費や倉庫代を含めた予算獲得の手段が限られるのが実態である。
そこで本プロジェクトでは、生活困窮者自立相談支援機関を中心とした窓口が、フード
バンクの利用料(送料程度)を負担する形で必要な時にフードバンクからの食料提供を受
けるという仕組みを構築した。
生活困窮者自立相談支援事業は、各自治体の予算事業であるものの、自立相談支援事業
に食料支援の予算がつくことはない。しかしながら、相談に来られる方は経済的に困って
いるだけでなく、家計管理にも課題がある。数日乗り切れば、給料日であったり、年金や
生活保護費の支給日になるといった状況での相談も多く、相談支援機関側のフードバンク
の利用ニーズは非常に高い。そのためフードバンクの食料提供を利用しながら、就労支援
や家計改善に向けた支援を行える状況は非常に支援に役に立ったようである。
結果、困窮者自立相談支援機関や社会福祉協議会等自治体側で次年度フードバンク連携
のために独自予算を申請したという事例が出てきたことも大きな成果である(3 拠点)。
また、フードバンク自体が、生活困窮者のアウトリーチの役割を担うことがわかってき
た。これまでのフードバンクの利用者へのアンケートでは、上述した相談者に加え、どこ
に相談したらいいかわからない、相談したが対応してもらえなかった等、孤立感を抱える
世帯が多く、適切な支援情報が届いていないため、生活困窮者自立相談支援機関等への相
談にまで至らない世帯がかなり多いことが分かった。このような世帯に「北海道支援情報
ナビ(LINE BOT)」の情報提供を行うことで、フードバンクの利用をきっかけにして自立
相談支援機関や社会福祉協議会の相談支援につながったというケースもみられた(4
件)。また、支援情報ナビの食べるものがないという相談からフードバンクの利用につな
がったケースもあった(9件)。
このように、生活困窮者自立相談支援機関とフードバンクと連携することで、フードバ
ンクの活用によって相談支援がやりやすくなるだけでなく、生活困窮者支援のアウトリー
チとしても機能することがわかり、生活困窮者自立相談支援機関側でフードバンク利用の
ための予算を継続してつけることができれば、WIN/WIN の関係を築いていくことができ
る。

(3)シェルター広域連携推進事業
シェルター広域連携事業は、本プロジェクトの予算で、ホテル借上げ型シェルターを用
意し、シェルター未設置自治体にシェルター機能提供するための事業である。
本事業の経緯としては、札幌市の一時生活支援事業を受託している JOIN の利用者を分
析すると、一定割合が札幌市外からの利用者となっており、一時生活支援事業を実施して
いない自治体が、自治体内で利用できるシェルターがあれば、道内各地から札幌市へ移動
(野宿経験を)することなく、それぞれの地域で支援ができるのではないかと考えたのが
発端である。
今回、コロナ禍で集客が落ちたゲストハウスに声をかけ、シェルターとしての利用を依
頼するとともに、ゲストハウス同士のネットワーク化を進め、広域で対応できる仕組みづ
くりを行った。そして、これは同時に一時生活支援事業未実施自治体へ向けた、支援スキ
ルのシェアと実績を作ることによって、各自治体へ予算確保に向けた働きかけを行うこと
を目的としている。
実際に、今回利用が最も多かったのは、一時生活支援事業を実施していない帯広市の支
援機関からであった。また一時生活支援事業を実施していても個人ではなく、4 人世帯に
は対応できないため本事業で連携したゲストハウスを利用したケースもあった。
ゲストハウスの利用のメリットとしては、一般的なビジネスホテルと違って、コミュニ
ティスペースを兼ね備えている点、食事提供も含めて顔が見える関係性が作りやすい点が
あげられる。また相談員が常駐するわけではないが、ゲストハウスの特性上、オーナーや
スタッフがどんな方とも気軽に話をする高いコミュニケーションスキルを持っていること
が多いため、生活状況を把握することができる。このため地域によっては一時生活支援事
業の受け皿として活用していくことが可能と考えている。
本事業を通じて、一時生活支援事業を実施していない、また実施していて単身者には対
応できても、世帯に対応できないような自治体が実際に本事業を活用することがわかり、
この経験をもとに、各自治体における居住支援の体制充実につながればと願っている。

 

5-2

~生活困窮者支援の孤立を防ぐ~
続・後方支援プロジェクトから見えてきた
支援者支援の機能と役割

〇支援者支援の機能と役割
支援者支援の機能と役割は 7 つに分類できる。情報交換会として実施した、①情報共
有・ネットワーク構築機能をベースとして、②ニーズの把握、③課題の整理を行う機能、
そして把握した課題解決をするための支援機能として、④人材育成、⑤支援員向けスーパ
ーバイズ、⑥ノウハウ提供、⑦社会資源の開拓といった用途に応じた方法論で対応してい
くことが求められる。この機能を一体的に働かせることにより、さらに①情報共有ネット
ワークの価値(関係性)を高めていくことによって、情報共有やニーズ把握の精度が向上
していく循環が起こり、支援を実施していくための地域力の底上げ・向上につながってい
くと考える。

〇生活困窮者自立相談支援機関の後方支援機能(支援者支援機能)の普及にむ
けて
(1)官民協働で地域における支援力の向上について検討する場の位置づけが必要
本来、この支援者支援機能自体は生活困窮者法における都道府県の役割として生活困窮
者自立支援法に明記されている所ではあるが、都道府県単体で実態を把握し、この機能を
すべて賄うことは難しい。(実態を把握せずに1(会議)・4(研修)などをバラバラに実施し
ていても効果が低い。)そのため、都道府県の役割として官民協働で各々の地域における
支援力の向上について検討していく場の設置が必要である。(法律上に明記)しかし繋が
りが構築されていない中で、会議体だけの枠組みを作ることはむしろ逆効果であり、だか
らこそ、上記したような2~7までの機能が果たす役割と連動性が重要なカギとなる。
(2)地域単位(広域ブロック)での支援団体ネットワークが重要な役割を果たす
今回の後方支援プロジェクトと関連して設立を検討している北海道生活困窮者支援ネッ
トワークは一定の各現場の困りごとを出せる場を創り、その解決に向けたノウハウを担保
し提供する機能をもつ。生活困窮支援全国ネットワークとも有機的に連携し、地域毎の支
援団体ネットワーク同士で、各地域の課題やノウハウを他地域とも情報共有していく役割
が求められる。可能であれば、都道府県単位での支援団体ネットワークの構築、および支
援者支援の場づくり(その事務局機能の必須化)が望まれるが、必要に応じて近隣都道府
県が一体的に実施することも考えられる。現状、各自治体で地域における支援体制づくり
を試行錯誤している可能性があり、支援者団体のネットワークが軸となって、情報交換の
場を設けつつ、生活困窮者支援全国ネットワークの全国交流会等でも共有することで国全
体の生活困窮者支援のエンパワメントに繋がる。

(3)広域的地域における社会資源の開拓
広域的地域における社会資源の開拓には、都道府県が「その他の生活困窮者の自立の促
進を図るために必要な事業」として市等と連携して行う事が理想ではあるが、自治体負担
率が2分の1であり予算化が難しいという声も聞かれる。社会資源の開拓の試験的取り組
みは社会福祉推進事業のヒントになるなどの側面も期待されることから、各地域における
任意事業及び支援体制整備を促進するためのモデル事業として仕掛けづくりを行っていく
事も考えられる。その際重要なのはあくまでも主体は各地域の生活困窮者支援機関が主体
となれるよう、中間支援的な役割としてフォローアップしていく事である。
(4)支援者支援を一体的に実施する必要性、および専門性の担保(蓄積をする場)の
重要性
この支援者支援(中間支援)の機能は、7 つの機能を一体的に行うことで効果が期待さ
れるものである。
困窮者支援を委託事業として実施する場合は単年度契約となることがほとんどである。
また直営であっても自治体・社協含め人事異動があり人的ネットワーク、支援ノウハウが
蓄積されないことが多い。情報共有の場に加えて、このネットワークを下支えする事務局
(人材・専従)が必要となる。今回後方支援プロジェクト自体も、現場を持たず自由に動
けるスタッフを配置しなければ実現できなかったことでもある。また一体的に実施するた
めの支援団体ネットワークを通じて、支援者支援機能の専門性が蓄積されることは、今後
コロナ禍のように各地で起こりうる有事・災害時に負担が長期化する生活困窮者支援機関
のバックアップとしても機能する。
(5)個々の事業を実施する自治体の責任、役割
今回のプロジェクトではさまざまな支援機能を提供したが、現場ニーズに、一時生活支
援事業をはじめ、各自治体の事業実施(生活困窮者自立支援事業の任意事業の実施)が追
いついていない現状が明らかになった。これは委託先依存となっている自治体の責任でも
ある。情報交換会にも直営の自治体は参加しているが、委託元となる自治体の参加は少な
い。自治体としては NPO 等に委託して終わりではなく、担当としてケース会議などにも参
加し、委託先と協働で支援現場を理解、支援の在り方を考えていく責任、役割が求められ
る。またそのためにも都道府県及び自治体担当者が生活困窮者支援法の理念を理解し、そ
の役割及び責任について現場担当者と一緒に学ぶ場への参加も必要となる。

 

5-3

北海道のシェイクハンド・・生活困窮者支援の後方支援ネットワークに寄せて


生活困窮者自立支援全国ネットワーク理事
櫛部武俊

2013 年に生活困窮者自立支援法が成立して 11 年を迎えた。この制度は生活保護に対す
る不正受給バッシングの嵐の中で生まれた。成立時は第1のセーフティネットの雇用から
滑り落ちた方が第 3 のセーフティネットの生活保護の手前で雇用に跳ね上げる役割、第2
のセーフティネットが期待された。対象者を明確にという自治体の要請があって経済的な
困窮という立て付けになった。元々生活支援という思想があって困窮になった人だけを支
援するという狭隘な支援ではなかったのだが出発点はそこだった。5 年の全国の実践を通
じて 2018 年の法の見直しで理念として【人の尊厳】、定義として【社会的孤立】を定
め、経済的困窮から一人の人として向き合うというように目線が上がってきた。2022 年の
今年、生活困窮者自立支援法は新たな見直しが行われる。おりしも地域共生社会、孤立孤
独、自殺、ケアラー問題等、生活困窮自立支援から生まれ、個別支援サービスが充実の方
向になった反面、個別対策ができればできるほど縦割り化と孤立化も深まる矛盾を抱えて
いる。重層的折り重なり合いが施策を利用する住民にとって必要な所以である。生活困窮
制度のコアは分権的・創造的な自治事務を官民協働で取り組むことにある。この広い北海
道でそれを生かすにはどうしたら良いのか?点在故に自己完結的で支援者も孤立しやすい
状況を支援分野から打破するにはどうしたらよいのか?その一つの答えがこの「後方支援
プロジェクト」という名の新しい全道ネットワークの創出の中にある。北海道はこの 10
年幾多の官民の支援者が集い、学び励まし合ってきた。それを土台に町村の隅々まで支援
者同士が励まし合いつながり合うこの後方支援プロジェクトに希望は宿る。


6.資料

6-1 情報交換会 参加団体(参加者)一覧
6-2 JOIN 分析データ

JOIN 分析データ
札幌市ホームレス相談支援センターJOIN に相談に訪れた 2016 年から 2020 年の全データ
(1580 名)を分析した。なお、独自に分析しているため札幌市公表データと若干の数値の
違いあることには留意が必要である。
○分析対象データ
・2016-2020 年齢、性別、エリア(道内・道外・札幌)(n=1580)
・2017-2020 課題(31 項目の複数回答)(n=1216)
・2018-2020 エリア(道内市町村分類)(n=909)
○基本情報
年度ごとの利用者数は 2016 年度が 364 人、2017 年度以降は 293~321 人の間で増減を繰
り返している。

性別は男性が 77.5%と多くを占めるが、女性専用シェルターもあるため、一定、女性の
利用者もいる。年齢構成は、40 代が最も多く 365 人(23.1%)、次に、30 代 340 人
(21.5%)、20 代 316 人(20.0%)となっている。

地域別にみると札幌市内が半数以上の 874 人(55.3%)を占めているが、道内 378 人
(23.9%)、道外 318 人(20.1%)と地域外からの利用も多いのが特徴である。

○利用者の抱える課題(複数回答)
利用者の抱える課題を男女別でみると、メンタルヘルス、病気、就職活動困難、生活の
乱れ、社会的孤立、家族関係といった課題が高く出ている。メンタル、家族問題、家計管
理、社会的孤立、DV・虐待被害の項目は女性のほうがかなり高い割合を示している。

〇住居喪失から相談支援までの期間
過去 3 年(2018 年から 2020 年)のデータをもとに、利用者が住まいを失ってから、J
OINにつながるまでの日数を分析した。結果、札幌市内は 44.6%が即日でJOINにつ
ながっているのに対して、道内他地域では 29.6%のみである。逆に言えば、路上生活を含
む不安定居住を経験してから相談につながる者の割合は、札幌市内より、道内他都市のほ
うがが高い。そして、道外からはさらにこの割合が高くなる傾向が見られる。

〇利用人数・延べ宿泊数(2018-2020、3 か年計)
市および振興局(町村)別に 2018 年から 2020 年 3 か年の利用人数および延べ宿泊数を
表にすると次のようになる。また次のページではこの数値を地図化している。


6-3 内部利用の報告

関連プロジェクトの報告
SNS 相談窓口導入支援 子育て LINE 相談 そだちの杜
【子育て LINE 相談の目的】
子育て LINE 相談は、子育て中の親たち
にストレス、フラストレーションのが溜ま
り、そのはけ口が子どもに向かい、痛まし
い事件が起きている社会情勢を踏まえて開
設。特にコロナ禍での外出制限、子育てサ
ロン中止により、行き場がなくなった乳幼
児家庭の親の閉塞感や孤独感を和らげ安心
して子育てが出来るような気軽な相談の場
が求められている。
【登録件数】 327 件
【相談件数】 115 件
【子育て情報の提供】
子育て LINE 相談は登録制のため、子育
ての情報を様々な形で提供している。
①子育てヒントの配信(2 週間に 1 回)
②YouTube セミナー 申し込み不用で気軽に視聴できるように時間を設定
③Zoom サロン(オンライン子育てサロン)講義の聴講だけでなく参加者同士が
講師とともに話ができる場を設定。子育ての悩みの共有を図るため、参加者からは安心と
喜びの声が聞かれた。
④YouTube サロン 手遊び、シアター、体操等を動画で期間を限定して配信。
子育てサロンが休止の期間に家庭において子育てサロンの内容を親子で実施出来ると好
評を博した。

【所感】
コロナ蔓延による子育てサロン休止、公共施設の休館に伴い、子どもとのかかわり方、遊
びについての相談が増加。また日中の遊びの減少により、不規則な睡眠状況となり、夜中
に起きる、熟睡しないことが親たちの悩み、ストレスの増大につながっていることが伺え
た。
しかし、かかわり方の具体的な提案とともに子育てヒント、動画配信など参考文献につ
いても提示し見える化したことが効果的であった。相談対応姿勢として、親自身の悩みに
相談員が寄り添いともに考えることで、親の孤立化を防ぎ、不安の軽減を図ることに務め
た結果、丁寧で詳しく伝えたことへの感謝の言葉が聞かれた。残念な事に、オンラインの
Zoom の利用に関しては、一般的に周知されていないことが集客に影響した。
YouTube セミナー
テーマ:「育て info をあなた流にキャッチ」
講 師:福澤由佳 復職アドバイザー
ワークライフバランス北海道
参加者:LINE 登録者 85 名

Zoom サロン
テーマ:親子の触れ合いのお話~触れ合って遊ぼう~
講 師:横山千絵 わらべ歌ベビーマッサージ
インストラクターベビーウエアリングコンシェルジュ
参加者:8人(定員10人)

テーマ:ママのためのキャリアプラン~
講 師:坪崎 美佐緒コーチングプロコーチ
コミュニケーション講師
参加者:8人(定員10人)

シェルターから住居へ(シェルター広域連携推進事業 法人内シェルター)
1.事業目的
既存のシェルターは感染症対策として定員減が続いていたが相談者数急増したことや他自治
体から流入する住居喪失者に対して支援を行う余裕がない。そのため各地域の自立相談支援機
関が利用可能なホテル借上げとアパート型シェルター(本人の希望に応じて期間を設けず住み
続けることも可能)とを用意し、シェルター未設置もしくは予算が不十分な自治体にシェルタ
ー機能を提供。支援スキルのシェアと実績に基づいた予算確保の働きかけを行う。
2.実施方法
札幌市内に2部屋から3部屋の家具架電付き・即日利用可能なアパート型シェルターを常
設。希望者には生活の目途が立った段階で入居期限を定めない居室(生活支援付き住宅)とし
て利用させた。
3.実績
【人数】
延べ宿泊者数 600 人(泊)/実利用人数 11 名
シェルター利用後居室として利用 8 名
シェルター利用後の就労状況(福祉的就労含む) 5 名

4.写真

5.所感・考察(効果)

コロナ禍に入り、シェルター利用が増える一方で感染拡大防止の観点から相部屋が解消
され、結果札幌市全体でのシェルターの定員数が減少した。そのため、支援を集中し入れ
替わりの日数を短縮することで対応してきた。一時生活支援事業では、生活保護受給中の
者の受け入れ・他地域からの受け入れなど原則禁止されてきた。また、住まいを失った方
がシェルターへ入所するが2週間から3月程度の期間で転居を余儀なくされるため、住所
変更や行政手続きやシェルター利用後はどこに暮らすかわからないため就職活動なども思
うように出来ない状況であった。丁寧に長く関り続けることが必要な方に対しても利用期
間が短いため十分な支援が出来ずにいた。
本事業では、制度に基づかない事業であるため、相談開始の地域や経済状況・本人の背
景などに「要件」を科すことなく受け入れができたことは非常に大きい。また、本事業で
は保護観察中の者などや親子関係が悪い若者・覚せい剤の使用による幻覚症状があるもの
など長期的な視点やより手厚い支援が必要な者などにも対応した。また、シェルターをそ
のまま居室へ移行することで、就職活動を素早く開始し、就労に結び付くものなどおり、
従来型の一時生活支援事業ではみられない効果もあった。支援スキルのシェアという点で
は、紹介機関が札幌市から離れていることや他機関では継続的な関りが難しいこともあ
り、スキルのシェアまではつながらなかった。

 

孤立した相談者に対するオフラインプログラム そらさぽ:ジョブクラブ
1.事業の目的
コロナ禍における支援機能や内容の変化に合わせ、就労や居場所づくり・相談などの
各地域のニーズに合わせたオン・オフラインプログラムを先行試験的に実施。ノウハウを
蓄積・提供し他地域でも実施可能にする。
2.方法
コロナ禍であっても通信環境等によりオンラインでの対応は難しい困窮者への野外プロ
グラムや地域での仕事づくり等を広域(空知管内全 14 町・滝川市・歌志内市・赤平市・
芦別市・三笠市・美唄市)を対象に以下の取り組みを実施。
ア)広域での対応の場合、プログラム実施会場制限もあり参加者からは遠方になり参加
が難しくなるため、参加会場への交通費を支給し、参加を促した。
イ) 同じ釜の飯を食べることによって関係が深まる。コロナ禍だからこそ深めたい関
係づくりのため、感染対策に留意しながら、昼食の時間をプログラムに盛り込む。困窮に
より昼食を持ってくることが困難だったり、また、昼食を抜いている参加者への支援策と
して食事の提供を行う。
ウ)道具のレンタルにより手助けのプログラムの質を上げることにより、地域から必要と
される取り組みづくりを進める。
3.実績 合計 22 回 51 名 ※太字は食事会を合わせて実施
◇除雪プログラム 7 回
実施日:1 月 7 日、1 月 20 日、2 月 8 日、2 月 17 日、2 月 22 日、3 月 8 日、3 月 9 日
◇農作業プログラム 4 回(1 泊 2 日の合宿含む)
実施日:6 月 22 日、7 月 27 日、7 月 28 日、8 月 24 日
◇内職作業プログラム 7 回
実施日:8 月 10 日、9 月 2 日、9 月 3 日、9 月 6 日、9 月 7 日、9 月 8 日、1 月 21 日
◇まき割り作業 3 回
実施日:11 月 19 日、1 月 21 日、3 月 22 日
◇交流会 1 回
実施日:12 月 23 日

4.写真

5.所感・考察(効果)
プログラムの対象者は、経済的に困窮している方が多いため、交通費や昼食代の捻出が
難しいことが多々ある。また、扶養を受けている方でも家族との関係が良くない場合もあ
るため、家族に金銭的な負担をお願いすることに抵抗を感じる方も多い。そういった事情
があるため、昼食代や交通費の支給は、経済的な意味での参加のハードルを下げ、プログ
ラムを誘いやすく、参加しやすいものにした。また、飲食物の用意や、それらを受け渡す
行為は、参加者に対して歓迎の意を伝える手段にもなるため、参加者に「自分は歓迎され
ている」「自分はここにいていい」という安心感を与え、プログラムが継続参加しやすい
場になった。また、一緒に飲食をすることで、話題が生まれ、コミュニケーションが円滑
になった。そういった場の和やかさは、人との関わりに対する拒絶感から、就労に後ろ向
きになってしまう方に対して、社会参加に対するイメージを変えるきっかけになった。
さらに、除雪機のレンタルをすることで受けられる仕事の幅が広がった。豪雪地帯の単
身高齢者の除雪問題と、8050 問題を組み合わせてアプローチをすることが可能になった。
除雪は、明らかに生活に困難をきたしている人を助ける行動であり、社会的な意義が見え
やすい。またプログラムをつくる支援者としても、除雪は相手方に作業報酬を請求しやす
い仕事でもあるため、その結果、参加者にも一般的なプログラムに比べて割高な謝金を払
うことができた。「プログラムのための仕事」ではなく、「世の中に切実に求められてい
る仕事」をし、その働きにみあった報酬をしっかりもらうことで、利用者のやる気や自己
効力感に繋がったように思う。
今後は、質の高いプログラムを実施しながら、どのようにして効率的に回数を増やせる
かが課題となっている。
GATB 検査オンライン研修
日時 :2021年 6月9日(水) 14:00~17:00
目的 :就労支援に関する研修ニーズから生活困窮者自立支援機関におけるアセスメント
の専門的知識を身に着け、生活困窮者支援の支援スキルの向上・底上げを目的に実施。
参加者:札幌市ホームレス相談支援センター 職員 7 名
114
オンライン相談環境の整備

目的と実施方法
コロナ禍における生活困窮者支援機関での相談体制の構築を目的に IP 型 PBX(電話交換
機)を試験的に導入し、自宅や訪問先などでも事業所番号での通話を可能にした。また、
IP 網を構築する必要があり VPN も合わせて導入し、オンラインでの相談やリモートワー
クの推進を行った。

効果
VPN および MOTPHONE が試験的に導入され、ちょうどコロナ第 5 派真っ只中だったこ
ともあり、全事務所を閉めることなく相談対応が出来たことが大きな成果となった。
特に、岩見沢市生活サポートセンターりんくでは、職員9名在籍しており、自立相談支
援・就労準備支援・就労支援等を開設している。今回、職員を2班に分け3・4日ごとに
出勤班とテレワーク班という形で実施した。実際に子供からの感染や感染経路不明での体
調不良等が出て自宅療養者を出したが、zoom でのミーティングによる意思疎通はもちろん
のこと、事務所の電話を自宅から対応できる機能・データのやり取りがスムーズに行へ、
相談室の機能をほぼ低下せずに対応できたことは、コロナ禍において、困窮者が増える状
況に対応できた形となった。一部、Zoom 等の機能を使って相談者との面談を実施した
り、就労準備等のプログラム(ミーティングやかたり場)を開始している。今後はこのよ
うな相談者とのやり取りの体制強化を図っていければと考える。
また、今年度は、雪害等で JR が2日にわたって運休し、半数以上の職員が出勤できな
い状況が生まれたが、この時にも今回のシステムが活用され、事なきを得ている。コロナ
過だけでなく災害時全般における対応システムとしての機能も備えていると実感してい
る。


続・後方支援プロジェクトメンバー
ご協力者の皆様
生活困窮者支援の孤立を防ぐ~続・後方支援プロジェクトの実施にあたりましては次の
皆様からのご協力・ご助言等をいただき、実施することができました。事業内容てんこも
りの本プロジェクトには、本当にたくさんのみなさまからの後方支援を頂きました。
やりすぎながらも各事業内容を通して培かったこの新たな繫がりを大切にしていくと共
に、このたび携わって下さったすべての皆様にこの場を借りて心より厚く御礼申し上げます。
【続・後方支援プロジェクトメンバー】
・ 有限会社 CR-ASSIST 四井恵介
・ NPO 法人北海道 NPO サポートセンター 定森光
・ 株式会社シージェイシステム 成田禎仁
・ UNTAPPED・HOSTEL 神輝哉
・ 一般社団法人札幌一時生活支援協議会 小川遼
・ 札幌南徳洲会病院・認定臨床宗教師 米本智昭
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 湯澤真吾
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 穴澤義晴
・ NPO 法人フードバンクイコロさっぽろ 片岡有喜子
【北海道生活困窮者ネットワークのあり方に関する検討委員会】
・ 北海道根室振興局保健環境部社会福祉課 菊地英人
・ NPO 法人しりべし圏域総合支援センター 吉村寿人
・ 一般社団法人釧路社会的企業創造協議会 相原真樹
・ 一般社団法人札幌市一時生活支援協議会 山中啓史
・ 社会福祉法人北見市社会福祉協議会 岡田博之
・ 一般社団法人北海道総合研究調査会(HIT)切通堅太郎
【プロジェクト責任者に対する後方支援メンバー】
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 柴田正吾
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 山本みさ
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 眞田あおい
【プロジェクト責任者】
・ NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 佐渡洋子

本プロジェクトは厚生労働省
「生活困窮者及びひきこもり支援に関する民間団体活動助成事業」の
助成を受け実施致しました