~生活困窮者支援の孤立を防ぐ~続・後方支援プロジェクト報告書

はじめに
「生活困窮者支援の孤立を防ぐ~続・後方支援プロジェクト」では、生活困窮者支援機関のつながりづくりを目的に、生活困窮者支援機関の皆さんからのご協力のもと、盛りだくさんの事業を行ってきました。すべての事業を通し、道内、道外合わせて 164 の事業所、241 名の皆様に参加していただきました。生活困窮者支援に関わる多くの皆さんのご参加によって、無事に本プロジェクトを終了することが出来ました。本当にありがとうございました。
当法人では、社会的排除が生み出す孤立をテーマに一人ひとりが主体的に関わりあえる地域づくりを目指し活動してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響は人と人、さらには支援者同士のつながりをも分断し、生活困窮者のみならず支援者の孤立・孤独を拡大させたと感じています。
北海道道央圏において 2016 年に開始した「道央圏 生活困窮者自立支援事業 担当者情報交換会」では、2019 年までは主催自治体にバトンを渡す形で生活困窮者支援担当者同士の情報交換会を実施してきましたが、2020 年コロナ禍の影響により中止、バトンが止まる形となってしまいました。
このような状況を受けて、2020 年度に READYFOR「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」 による「生活困窮者支援現場の後方支援プロジェクト」を当法人で開始しました。後志、石狩、空知エリアの「相談支援団体」における新型コロナウイルス感染拡大による影響、各団体のニーズを把握、支援物資の送付、フードバンクとの連携を、感染拡大のなか支援事業に取り組む民間団体への後方支援として実施してきました。その結果、フードバンク利用者の孤立・情報難民状態・生活困窮者支援機関におけるコロナ禍での負担増などの課題が見えてきました。
そこで、2021 年度は「続・後方支援プロジェクト」として、これまで培ってきた道央圏を中心としたネットワークを北海道内全域に展開し、【Ⅰ】生活困窮者支援者の孤立を防ぐため生活困窮者支援機関の情報交換の場を作ること、【Ⅱ】孤立する生活困窮者が支援情報に用意にアクセスできる仕組みを構築すること、【Ⅲ】支援に使える支援メニュー(後方支援メニュー)を試験的に実施し、支援実績のある自治体から支援実績のない自治体へのノウハウ提供、各自治体の社会資源の不足を補う中間支援事業を行うことを目的として事業を進めました。また「北海道生活困窮者支援ネットワーク」のあり方に関する検討委員会を開催し、北海道の生活困窮者支援のためのネットワークおよび中間支援組織の構築について検討を行いました。
Ⅰ情報交換会への参加・アンケートへの協力をしてくださった北海道内の生活困窮者支援機関は 79 機関(内 26 自治体・53 事業所)と全生活困窮者支援機関の6割以上の参加率となりました。また、Ⅱ「北海道支援情報ナビ」の開発を通じた支援情報提供体制の構築では北海道庁のオープンデータとの連携を行い、自動更新可能な情報提供体制の構築を一部可能にしました。また、Ⅲの社会資源の開拓ではフードバンクと相談支援機関との連携促進やシェルター機能の提供など地域ニーズの開拓等、プロジェクトメンバーの協力のもと様々な支援メニューの開拓を実施しました。
本プロジェクトでの実施内容から、ネットワークの構築や、ニーズ把握、論点整理、人剤育成、ノウハウ提供、スーパーバイズの機能や社会資源の開拓などの生活困窮者支援における支援者支援の機能が見えてきました。この7つの機能は一体的に、官民一体で実施されるからこそ効果的に、制度改善や支援体制整備、そして支援者を孤立させない支援者支援、を行う役割を担っていけるのではないかと感じています。またフードバンク連携についての費用の問題や恒久的な支援情報提供体制の課題も残ります。この様な地域課題を解決するためにも、こうしたネットワークの構築は地域力・支援力の向上に繋がり、ひいては災害時などのバックアップとなります。生活困窮者法の理念である、孤立させない支援、支援体制整備の大切さは支援者支援にもそのまま当てはまるということです。
私たちは誰もが一人では生きていけないし、支援も孤立しては出来ません。だからこそ、お互いに相談し合い、フォローし合いながら、少しずつスキルアップし、できる範囲を広げていく、それが、制度からこぼれ落ちた生活困窮者の方たちと関わるために大切なことなのではないかと思います。
私自身不慣れな事務局業務にたくさんの方たちに助けていただきました。本当に心より感謝です。今後とも、北海道の生活困窮者支援のこれからを一緒に考え、そして作って行く仲間としてみなさんのご協力を頂きながら、少しずつ繋がりを広げていけるように邁進していきたいと思っています。
この度はたくさんのご参加・ご協力頂きましたこと、改めてここに御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

 

NPO法人コミュニティワーク研究実践センター
生活困窮者事業推進室 事業主任
佐渡 洋子(さわたり ひろこ)


「NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター」へ入職。
市民活動プラザ「星園」・コミュニティハウス「れおん」立ち上げスタッフとして勤務。ニート引きこも
り層の若者支援→絆再生事業を活用する事によりホームレスや生活困窮者の若者支援を行う。
生活困窮者事業推進室にて生活困窮者支援機関の後方支援を行っている。札幌一時生活支援協議会理事。
伴走型支援士1級/社会福祉士/公認心理師

事業全体の概要

【事業目的】
コロナ禍にて顕著となった孤独・孤立問題と同様に、私たち生活困窮者自立相談支援機関
自体も孤立※している現状がある。そのため支援機関同士をつなぎ、顕在化した困窮者支
援への課題解決を目的として以下の事業を実施した。
【実施期間】2021年6月~2022年3月
【対象地域】北海道全域 (道央圏情報交換会の流れを組み、道央圏からスタートし
全道に事業を展開、事業内容によって他県の取組みと連携して実施)
Ⅰ 情報交換会・シンポジウムの実施
Ⅱ 情報集約・情報提供体制の構築 (「北海道支援情報ナビ」の開発)
Ⅲ 生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供
① 北海道 NPO のデジタル化相談事業
② SNS 相談窓口の開設支援事業
③ シェルター広域連携推進事業
④ こころの SOS(カウンセリング)事業
⑤ オンライン就労準備プログラム
⑥ 地域ジョブコーチ育成プログラム
⑦ フードバンク窓口連携支援事業
Ⅳ 連携に対する効果検証・実態調査

 

「Ⅰ 情報交換会・シンポジウムの実施」については、北海道庁の協力を得て、道内の
福祉事務所設置自治体、生活困窮者自立相談支援機関(受託団体)、社会福祉協議会へ事
業の周知、参加の呼びかけを行った。
「Ⅱ 情報集約・情報提供体制の構築」は、静岡県 POPOLO が作成していた LINEBOT を
参考しながら、その開発にあたった市川氏(Code for Japan)の協力を得て、開発に取り組
んだ。データ作成にあたっては、LINEBOT 製作チームとして、後志振興局、釧路市・岩見
沢市の自立相談支援機関担当者と共同でデータ作成、開発を行った。
「Ⅲ 生活困窮者支援団体への後方支援、先行実施・ノウハウ提供」としては、①北海
道 NPO のデジタル化相談事業、②SNS 相談窓口の開設支援事業、③シェルター広域連携
推進事業、④こころの SOS(カウンセリング)事業、⑤オンライン就労準備プログラム、
⑥地域ジョブコーチ育成プログラム、⑦フードバンク窓口連携支援事業と多岐に支援メニ
ューを用意し利用していただいた。
なお、ネットワークづくりを兼ね、I~Ⅲの各事業の周知をするため、道内に 49 ある福
祉事務所設置自治体のうち、43 自治体の担当者又は自立相談支援機関を対象に対面、オン
ラインさまざまな手段で、事業説明会を実施した。感染拡大の影響により一部スケジュー
ルが合わず、訪問できなかったり、声掛けが遅くなってしまった自治体もあるが、広い道
内各地への事業周知および現状把握をすることができた。
最後に「Ⅳ 連携に対する効果検証・実態調査 」として、事業の効果検証として、I 同
様に北海道庁を通じて、道内の福祉事務所設置自治体、生活困窮者自立相談支援機関(受
託団体)、社会福祉協議会へのアンケート調査を実施、取りまとめを行っている。
また、今後の道内の生活困窮者支援の在り方を考えていくための検討委員会を立ち上
げ、事業終了後も議論の場を継続していく仕組みができたこともひとつの成果である。
本プロジェクトⅠ~Ⅳ及びすべての関連事業を合わせた支援実績は延べ 442 団体、支援
員 753 名、相談者 2593 人、事業利用件数 298 件、シェルターの宿泊は 716 泊に上った