居場所を失った人への緊急活動応援助成 第9回助成を受け、様々な理由で親や家族を頼ることが難しい若者に対し、安心して暮らすことのできる暮らしを提供するとともに、その実践や当事者や関係者のヒアリング通じて、若者期の「親の役割」を具体化し、「親の機能をどう社会化(仕組化)」するべきか提言するための事業報告書

本事業は、中央共同募金会の「居場所を失った人への緊急活動応援助成 第9回助成」の助成を
受け実施しました。
様々な理由で親や家族を頼ることが難しい若者に対し、安心して暮らすことのできる暮らしを提供するとともに、その実践や当事者や関係者のヒアリング通じて、若者期の「親の役割」を具体化し、「親の機能をどう社会化(仕組化)」するべきか提言するための事業


報告書(WEB版調整中です)


発行:特定非営利活動法人コミュニティワーク研究実践センター

1. 事業について・・・・・・・・・2
2. 実施内容について・・・・・・・3
3. 座談会
(1)親座談会・・・・・・・・・・8
(2)高校関係者向け座談会・・・・13
(3)大学関係者向け座談会・・・・18
4. 報告会の開催・・・・・・・・・29
5. 提言・・・・・・・・・・・・・31
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1.事業について
(1)背景
2022 年度・2023 年度、赤い羽根福祉基金(以下、「基金事業」と呼ぶ)の助成を受け、孤立している若者、困難を抱えている若者に対し一人暮し体験の場を提供すると共に、その実践を通して、一人暮しに必要な能力と若者特有の難しさを明らかにするための活動を実施。024 年 2 月 27 日に基金事業の報告会を実施した。その中で、親に頼ることが難しい若者の支援が政策化されてきているが、親の経済的な支えに焦点が当たり、10 代・20 代の若者が独り立ちするための「親」の担う役割とは?何なのかについて具体化されていない。(少なくとも、親の役割は経済的な支援だけではないと考えている)そのため、若者期の家族や親の役割について明確にし、それを社会化(仕組化)する必要があることを提言した。また、基金事業の中では、親からの DV や金銭搾取など家族関係に問題を抱え、自宅から緊急的に避難してきた若者も多くいた。(15 名中 10 名)(2)基金事業から見出した新たな課題①子ども期から続く親・家族等から暴力・暴言などに耐え切れなくなり、自宅を飛び出し、繁華街や友人宅を転々とし、その後相談につながる若者が多かった。
②家族関係が悪く、親を頼ることが難しい若者も多いが、「親」の役割について明確にされていない。
(3)事業の目的
①(2)―①の解決に向けて、親や同居する家族等からの DV や金銭搾取などにより自宅から避難した若者が、安心し暮らすことできる居室を設置する。また、親に頼ることなく、自立ができるよう支援を行う。(ユースサポートハウス)
②(2)―②の解決に向けて、利用した若者への関りの中で、「親」的な関りや「親」にしか難しいこと、親を頼れないことで難しくなっている課題等を明らかにする。
③(2)―②の解決に向けて、若者、学校教諭、支援機関の支援者等から、若者期の「親」の役割や期待することについてヒアリングを実施。
④ ①~③の検証を行いながら、若者が自立するにあたっての「親」の役割を具体化し、「親の機能をどう社会化(仕組化)」するべきか提言を行う。

2.実施内容
(1) ユースサポートハウス事業概要
〇内容
①親や同居する家族等からの DV や金銭搾取などにより自宅から避難した若者が安心し暮すことできる居室を2部屋設置。
②自身で自炊・清掃・入浴・金銭管理などについて、必要に応じて助言する。
また、一人暮らしに向けて事業費で負担した食材費や光熱水費、家賃等についても利用した
若者に伝え一人暮らしを総合的に学ぶことができるようにする。
③未就労の若者に対して、段階に応じた就労支援(中間的就労を含む)を実施。
④利用開始時に課題を整理し、必要な行政手続きの援助や専門機関への相談、福祉サービスの活用など、本人に伴走しながら必要な援助を行う。
※学生については、学校に通い続けるための支援も想定。
⑤住まいを確保する際、入居に向けた支援や入居後の支援を不動産系居住支援法人や若者支援機関や生活困窮者支援機関等と連携し、実施する。
⑥支援実践の中で、支援員が感じた「親」的な関りや「親」にしか難しいこと、親を頼れないことで難しくなっていることを整理し検証会議に報告する。

◯利用期間
2週間から概ね 3 カ月程度を想定しているが個々の状況に応じて柔軟に対応
◯利用料金
・収入の無い方・収入の低い方(月 36,000 円未満):無料
・収入のある方(月 36,000 円以上):1日 300 円~ 1,500 円
※利用料には、家賃、光熱水費等を含む。
※収入とは、同居する家族・知人等の収入ではなく、あくまで本人。
※収入の 25%を目安として、30 で割った金額を1日の利用料とする。(100 円未満は切り
捨て)
(2) ユースサポートハウス利用実績
〇期間
2024 年 4 月 1 日~2025 年 2 月 29 日(終了予定は 2024 年 3 月末)
〇対象年齢
16 歳~30 歳まで
〇定員
2名(途中 3 名に増員)
〇利用人数
9 名
利用した若者の多くは、家族関係を背景にした者が多く、学校在学中の若者も多かった。
【利用開始理由と職業】

(2)検証会議
〇開催目的
ユースサポートハウス事業の実践の検証と助言、支援員が感じた親的な関りや「親」
にしか難しいこと、親を頼れないことで難しくなっていることについての検証し、若者が自
立するにあたっての「親」の役割を具体化し、「親の機能をどう仕組化」するべきか、提言
を行う。
〇検証会議委員
座⾧:札幌国際大学短期大学部准教授 山内 太郎 氏
委員:札幌地域若者サポートステーション 山名 徹 氏
札幌市ホームレス相談支援センター 山中 啓史 氏
NPO 法人 CAN 屋代 通子氏
〇期間
2024 年 5 月~2025 年 3 月
〇開催日
第1回:2024 年 5 月 13 日 18:30~20:30
第2回:2024 年 8 月 26 日 18:30~20:30
第3回:2024 年 10 月 1 日 18:30~20:30
第4回:2024 年 11 月 19 日 18:30~20:30
第5回:2025 年 1 月 14 日 18:30~20:30
第 6 回:2025 年 3 月 18 日 18:30~20:30
〇議論概要
検証会議の中では、ユースサポートハウスの実践事例について報告や助言、若者期の「親の
役割」とその機能をどう仕組化するべきかについて議論された。
当初は、若者視点での親の役割について明らかにする方向で考えていたが、議論の中で、若
者自身ではなく、「若者期を支える親側の視点」で考える「親の役割」や若者期を高校や大
学などの「学校や社会」が「親の役割」をどう考えているのか?何を期待しているのか?に
ついて、明らかにする方向で議論が進んだ。結果、親向け座談会・高校関係者向け座談会、
大学関係者向け座談会を開催し、若者期における「親の役割」とその機能をどう仕組化する
べきか本報告書にまとめた。

(3)利用した若者のライフチャート

【背景】
小学 1 年生の時に、今の父と住みはじめた。(後日、実父とわかる)同居後、父からしつけと言われ暴力
をふるわれるようになった。弟が小学生の時、ケガをして児童相談所が介入。父に指導をしたようだが、
変わらなかった。大学に入ると、妹の私立中学受験に向けた勉強をみるよう言われ、門限を決められた(18
時)。模試の結果が悪い時・中学受験失敗時にも暴力を振るわれ、その後も変わらなかった。大学の教諭
に相談。暴力が常態化していることから避難するよう言われ、1泊過ごし、大学教諭の紹介で、ユースサ
ポートをハウス利用。
【利用開始後】
大学の紹介で、アルバイトに従事。奨学金の変更等も大学の協力もありスムーズに進んだ。住民票の閲覧
制限や扶養を抜く手続きなどが、スタッフが助言・援助しながら進めた。大学に親から本人宛に連絡があ
り、当面の期間、連絡を取らないことを確認。お金も貯まり、大学の協力もあり住まいを決めた。

【背景】
高校生の頃、母親が父親から暴力を受け、身体に障害を抱えた。高校卒業後、大手企業に就職。母は離婚
しようとし、父がそれを阻止するよう本人に伝えたが、失敗。父から本人に暴力があり警察が介入。当法
人のシェルターを利用し、支援付き住宅に入居。入居後、父から連絡があり、恐怖から、仕事に行けなく
なり引きこもり、解雇となり、自宅に引きこもる。昼夜逆転した生活、部屋及び自身の身体の清潔保持等
が難しくなり、生活習慣を改善すること、父から避難するため、ユースサポートハウスを利用。
【利用開始後】
毎朝、声掛けを行いながら、スタッフが援助し、掃除・ゴミ捨て等を本人と実施。毎朝声掛けをすること
で、昼夜逆転した生活は改善された。ユースサポートハウス利用後、以前暮らしていた地域と異なる場所
の支援付き住宅に入居。入居後も、朝の声掛けや清潔保持等の見守りを実施。半年以上、髪を切ることあ
出来ていなかったが髪を切り、入浴習慣等も身に付いた。少しずつではあるが、友人との交流も持ち始め
ている。

3、座談会
(1)親座談会
開催日時:2024 年 11 月 19 日 13:00~14:30
参加者:2名(子育てが終了した親)※当事者の親ではない
【内容】
(インタビュア)子供が 16 歳から 29 歳の期間で、子供との関わりで楽しかったな、とか
苦労したな、というところはありますか。
(A)主人がいなかったので。頑張ってキャンプに連れていったり、お父さんの役目を(も)
しました。今孫をキャンプにつれていったりすると、ママはねって当時の思い出を話してい
たりするので、よかったなと思って聞いています。
父親が普段いないというのを理由にして、子供たちにあまり経験させられないというのは
(よくないという思いが)すごくありました。子供の喜ぶこととして、毎年キャンプを企画
していました。
(B)我が家は全く逆で、インドアなので、キャンプはいいよ、行かないわ。外でバーベキ
ューとか絶対嫌って感じで。だから子供たちと一緒に外で何か楽しむとかっていうのはあ
んまりしたことが無くて。2 人とも子供の頃から音楽を習っていたんです。小学校、中学校、
高校と夏になるとコンクールがあり、それに向けて夏休みは音楽漬けみたいな生活をずっ
としていて。冬は学校でスキーがあって。自分で連れて行くわけではなくスキースクールに
通わせていました。
(インタビュア)お 2 人ともご自身が若いころから経験していたことを、やっぱり子供た
ちにも味わわせたいということですかね。
(A)まずは自分が楽しむのが基本なのでね。自分が楽しめないことだったら多分続けら
れなかったかなと今になって思います。

(インタビュア)お話いただける範囲で構わないんですけれど、苦労したなとか、これは大
変だったな、みたいなことはありましたか。
(B)父の参観日みたいなのがあって、昔は土曜日とかにありましたが、(他の家庭の)お
父さんはだいたい来ていました。だから(子供たちも)主人に八つ当たりもよくしましたし。
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いつ帰ってくるんだとか、仕事なのでしょうがないんですけど。
主人が知らない間に幼稚園に入って幼稚園を卒業したって感じですね。3~5 歳っていっぱ
い変わる女の子がかわいい時期に主人がそばにいなかったのは今でもやっぱりかわいそう
だな、って。最近主人にもかわいそうだなって思います。
(A)これが凄い、大変でしたというのはないですが、上の子が高校受験のときにインフ
ルエンザにかかってしまって。中学校の先生が父兄の控室が高校にあるはずだからとりあ
えず行って、お母さんは控室で待機していられるようだったら受けさせたほうがいいって。
娘に聞いたら行くって。
主人がいないので、全部私が色々しなくちゃいけない。冬なのでタクシー呼んでもすぐには
来ないし、車で連れていくにも駐車場ありませんって言われるし。
タクシー呼んで上の娘を高校の熱ある人たちの玄関のほうに行ったら、父兄の控室はあり
ませんって言われて、そのままバスに乗って帰ったんです。
家に着いてからは、迎えに来てください、って電話が来るかなってドキドキしながら待って
たことだけは覚えています。

(インタビュア)子供たちに配慮していたこととか、こういう距離感で行こうみたいな考え
はありましたか。
(B)お姉ちゃんが私立に行ったので、ちょっと額面がかかりましたね。下の子は見ていて、
自分はしっかり公立に行かなきゃって感じでした。やっぱり二番目だからしっかりしてい
るのか、よく見ているなと思いました。
(A)なるべく誘導はしないようにしようと。親の希望はありましたが、結局口は出しまし
たけど、なるべくしたくないなって。最終的に本人がそこに決めたらそのまま応援するって
いう感じで。

(インタビュア)子供が成⾧し、子育てが一旦落ち着いたって思うタイミングはどこですか。
(B)上の子はもう結婚しています。同棲したいって言ってきたときかな。終わったのかな
って。自分で家庭を作りたいということなので。
(A)まだまだ一区切りだと感じたことは無いです。上の子が大学卒業した時点で働くって
いう話でしたが、コロナの時期で、1 年間学校にも行けず。資格を取って。そのまま就職す
るかと思ったら、研究室に 2 年通って就職しました。元気に帰ってくればいいなって思っ
ているところです。下の子はまだまだ学生なので(子育て中という意識です)。

(インタビュア)子育て中、あるいは今振り返って、なんかこういう仕組みがあれば、制度
があったら助かったな、とかありますかね。

(B)子供が小さいとき、主人がいませんでした。学校とか幼稚園の役員をしていて。その
時に会合とかをするとか、飲み会をしましょうというときに子供をちょっと預ける場所が
欲しいなと思いました。
実家の母はあまりあてにできないなと思って、行政に相談したことがありました。噂で子供
を預かれますよっていう施設があると聞いて。でもよくよく聞いたら、親と住めない子たち
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の(ための施設の)空き部屋で、2 時間預かりますよっていうところだった。やめたほうが
いいですよってすごく言われて、結局やめましたね。
公的なところでも、ちょっと手軽に、有料でも 1 時間 1000 円とかで預かってくれる保育園
的なものがあればいいのですが、小学生を預かってくれるところは意外に少なくてですね。
ちょっと大きめの子供を預かってくれるところがあったらいいなぁって思いました。

(インタビュア)中学生や高校生の時にこういうのが、あればっていうのはありましたか。
(B)留守番できる歳になったら置いていったりもしましたけど。私はなるべく近所の方に
お願いしたりして。実家だとかえって迎えに行くのが面倒で。
(A)実家が近いので、何かあった時は頼んでいたので、他に預けるところがあったらな、
というのはあまり思ったことがありませんでした。自分自身、子供を置いて出かけるという
のができない性格だったので。我慢してというのではなく、なんとなくできなかったです。
(インタビュア)実家がもし無かったらどうなっていたと思いますか。
(A)近所に住んでいる子供のお友達のお母さんにお願いするしかなかったと思います。
(B)同年代の子供がいるとお互いわかっているので。小学校低学年のときのお母さんたち
のネットワークが結構後々まで続くと思いますね。高学年になってくると働きに出るお母
さんも増えますが、昔から知っている人はわかるので。あれこれ相談したりはします。

(インタビュア)低学年時代のお母さんネットワークみたいなものに、参加出来ないお母さ
んがいたりしましたか?
(A)子育てネットワークに乗り切れていない方は多分顔を出されていないので、あまり印
象が無いですね。そもそも、普段から顔を出されてないから。
(B)私は役員をしていて学校に行かざるを得ないので、お母さん方の顔を覚えたりするの
は早いですね。それでも、顔も見たことが無い方はいらっしゃいます。

(インタビュア)20 代を超えたお子さんたちとの関係はどういうふうにとらえていますか。
(A)大人同士なので、子供ですけど、大人扱いをしようと思っています。手を出したくな
ったりはしますが、やりすぎないようにと思いながら接しています。
(インタビュア)子供との接し方については旦那さんとも話をしたりしますか。
(A)旦那とはしないです。主人はもともとクールな感じなので、子供に対してのめりこむ
ことはないですね。私のほうがどんどん聞いちゃうほうなので、なるべくそれを大人になっ
たのでしないようにと思っています。
(B)なんかそういう子育て感みたいなのがどこから来たのかなって。例えば大人だから距
離を置いて話したほうがいいよね!みたいな。
私の両親は特に過保護なんです。雨降ったら濡れるから車で送ってあげるとか。
そういうのがあり、過保護にしたいタイプなのは自覚していますが、自制しています。
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(インタビュア)子供さんとの関係という中で、過保護っていう言葉が 2 人から出たのが
すごく面白いなと思います。親や家族に頼れない若者たちについてはどう思いますか。
(A)この問題を、聞くまでわからなかったです。あまりニュースでも取り上げられないで
すよね。
(B)ヤングケアラーは、娘がたまたま連れてきたお友達が、うちのお母さん寝たきりなの、
というようなことを言っていて驚きました。頼れないのは経済的なことばかりだと思って
いたら、そうではないと聞き、ショックというか驚きました。最後の砦じゃないですけど、
親に相談したらなんとかなるというか、解決しないまでも自分の気持ちがなんとかなると
か。そういうところが結構大事だと思うので、そういう支えがあったら少しはいいかなって。
親、家族に頼れないってなったときに、相談するとか、悩みを打ち明ける場所がどこかにあ
ったら、自分の中で折り合い付けられるようになるのかなと。相談できる場所や具体的にア
ドバイスしてくれる人が必要だと思います。
(A)闇バイトとかがすごく大きく取り上げられて、あと高齢者の問題ばっかりなので。こ
れから動かしていく若い子たちにこういうことがあるっていうのは本当にびっくりしまし
た。親に頼れないってどうするのだろうなって。

(インタビュア)幸せな家庭があって、そこに子供が育ってというのがあるべき、いいもの
なのかなっていう考えがあったりはしますか。
(B)当たり前という考えがありましたが、実は当たり前ほど難しいっていうのが。
大学のときに、学費が払えないからアルバイトをするとか、かわいそうですよね。
うちの娘が大学の時、奨学金受ける方が急増して。奨学金受けるか考えたこともありました。
実際は借金ですからね。親が年取ったら肩代わりもできません。娘の友達が、推薦入学で大
学進学決まったって、喜んでいた子がいましたが親御さんの経済的な問題で行けなくなっ
てしまいました。学校の推薦だから学校にも迷惑がかかるし。本人も行けないし、周りもワ
ーってなったことがあります。学校の先生は経済的な部分とか具体的におっしゃってなか
ったのかなって。親御さんは 4 年間これだけかかるっていう見通しがたてられなかったの
かなって。
(インタビュア)家庭内の経済事情みたいなのは先生にも相談したほうがいいと。
(B)本人が相談したいと思ったときにはするんでしょうけど、先生のほうからはもちろん
ね、言えないことだと思います。
(A)子供の高校が、道外の大学を薦める学校で、二年目のときに、道外の大学にいけます
よって言われましたが、経済状況を考えて、学費も出して生活費も全部送ってというのはま
ず無理で、バイトもしてもらわなくちゃいけない、大学に行くんだったら道内にして欲しい
と本人に言っていますと学校の先生にしたことがあります。
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(インタビュア)最後に、親としてお子さんにどんなことを期待していますか。
(B)期待なんかしていません。自分の面倒を見てもらうとかは一切考えていないです。行
き来できる距離にいるっていうのが幸せだと思います。あまりして欲しいことは無いです
ね。自分はやれることはすべてやってきました。ちょっと過保護的なところはありますが。
動けるうちは迷惑かけないようにしないとっていうのはありますね。
(A)何かして欲しいみたいなことは期待してないです。ただ、自分で生きていって欲しい
なって。もちろん頼ってもらってもいいし、頼ってくれることを期待したりもしてますけど、
とりあえず自分で稼いで、自分で生活して、自分の一生を生きて行って欲しいなと思って。
最終的にね、いろいろあるんだろうけど平穏無事にやってほしいなって思います。

(2)高校関係者向け座談会
開催日時:2024 年 11 月 26 日 19:00~20:20
参加者:4 名(高校教諭)

内容
最初の十年間は生徒指導がシリアスな高校にしばらくいましたので、それこそ家庭訪問で驚く。あ
あなるほど、こんなところで暮らしていたのかと。 毎日、生徒指導事項が起きるような学校で、家
庭訪問行った中で一軒家だったのは一回しかなくて、だいたい賃貸アパートでした。 玄関に入った
ら茶の間とキッチンともう一間あるのかどうかという部屋でした。 部屋が雑然としている、汚れて
いる家も多く、手が回っていないんだろうなっていうこともありました。こういうところにいると
(家庭環境)、悪いことしたくもなるのかなって思うことがありました。
今度は進学校にきて。 先ほど生徒も変わってきたっていう話を始まる前にされていましたけど、生
徒も親も変わってきているかなっていうのを感じます。
最近は生徒よりも親に腹立つことが多くて。生徒が泣きながらいろいろ話してくるのを聞いたら、
「親がおかしくね?」っていうことが結構あります。
家族関係や経済的な問題を抱えている生徒の対策や情報共有の取り組みについてなにかあります
か?
そういう子たちの学校適応とかを考える相談部署があります。ただ、機能しているのかと言ったら
あまりしていない。休みが多い生徒の報告はされ、欠席が多く進級認定できませんっていうのを大
目に見て 3 割までどうにかしましょうとか、卒業に関わる数字的な部分についてで背景をなんとか
しましょうっていう風にはなってないです。
多くの先生方は自分が担任されている子供たちの中になかなかしんどいなっていう人がいるのは
知っているが、そこは学校がなんとかすることだとは思っていないはずです。研修の機会もなくて、
自分で研修を見つけて、参加していれば別だと思いますが。
何か起こったときは、学校にできることとして限度があるよね、みたいな感じでお話もありました
が、教育相談的なものは、本当に機能しているかというと正直そこまででもないかな。児相とかが
入ってきたりするとそれに対しては、管理職も含めて対応したりはします。 命にかかわるようなと
ころ、自殺まではいかないですけど、そういうような、ちょっと危ない動きがあるような子たちは
ちょっと気にかけたりします。 そこまでにならないと、みんなでなんとかしようっていう感じでは
正直ないかな。
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学校の体制はどうなっているかと言うと、教育相談部があって、スクールカウンセラーについては
かなり助かっています。 カウンセリングですから、アクションするというよりは受け止め続けて、
認知のゆがみがあれば、なんとかしていくなどはします。 アクションを起こすっていうところには
なかなかすぐには行っていないです。 シリアスなケースでは担任と感触まで共有するっていうの
があります。 特に共有されているのは自殺リスクがある場合。
うつ(の生徒)が結構いて。うつ病に関しては専門医にかかってもらいたい。それがかなわない場
合は命の危険があります。 遠距離で通学している生徒とかは、地下鉄はまだ柵がありますが、JR だ
と飛び込んだらおしまいだなって思ったりもします。 保護者には生徒は、今こういう状況にあっ
て、学校では、こんな様子なのでという話をします。理解のある保護者の場合はわかってくれます
が、ただ、生徒がうつになっている原因がまさに親であったりします。
担任としてはとにかく最悪を想定しています。学校でできることは、ここまでかなっていうところ
との狭間を生きているって感じです。 長くいると、この子頼むねっていうのがあります。この子
も?この子もですか?というのが、僕のところには結構あります。
保健室でアンテナ(の役割を)はっていただいているので、生徒の 10%くらいは集まって来るので、
そこから一般の教員も情報を頂いて動くというような感じですね。
情報交換会を年七回やって、そこで情報を共有します。生活上の支援が必要なケースは特別支援コ
ーディネーターが、外部支援が絶対必要だねっていう(判断をした)ときには、サポステさんをは
じめ各機関に色々と動いていただくこともあります。
サポステなどの外部機関に繋げるっていうのは、結構個人技ですね。学校としてサポステと繋げて
というのは難しい。小さい職場なので、組織でやるというよりは、個人でやるっていうケースがや
っぱり多くなります。
全日制の大きな学校だとそうならないケースもあります。その先生が抜けたら。ぽこって穴が開く
っていうようなことはよくあるかな。
大きい学校だと機動力が無いというかそういうのが遅いですよね。
高校側としては、民間団体との連携は難しいかもしれないです。児相があまりにも気軽に利用しに
くい場所なので、児相までは至らないけども、今、緊急避難的に家から離したいというケースはよ
くあります。
それこそ親子関係が悪いっていうケースがすごく多いです。特にどこの馬の骨なのかわからない民
間団体に生徒を預けるなどということは、学校としては推奨できませんという立場にはなりやす
い。だから管理職とか担任とかと共有して話を通していこうと思ったら、途中でストップがかかる
ことや時間がかかっちゃうこともある。
保護者の了解っていうのは絶対条件ですね。家族がむしろ原因であると。本人との関係がやっぱり
悪化している中でとなると、どういうタイミングで伝えればよいのか悩みます。僕の職場もよくあ
るんですよね。学校に、全然来てませんっていうのが。それは家族関係が問題で、欠席状況がぎり
ぎりになって、親に伝える必要があるんじゃないかという場合があります。多くの教員が事情を知
らないというか、家族にはちゃんと知ってもらおうという話になりますが、それを知られるとすご
くシビアな状態が生まれてしまうから。結構大変だったりします。
(質問)
やっぱり家族の位置というか、学校の中での親御さんの了解(が必要だということ)って、考え方
としては一般的なんだろうなと思うんですけど、そういうむしろ家族関係が難しくて対応に困った
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っていう話がありましたけど、皆さんでもそういう事例とかありますか?
欠席状況とかが絡んでくると、もう 2 時間で単位認定できませんっていう連絡を、保護者にしなき
ゃならないというときに、担任の先生がそれをします。その時にどういう言い方だと本人に被害が
及ばないかについては相談することはあります。学校には来ていて、親のひどさを愚痴るみたいな
ときには、あなたに被害が及ばないようにうまいこと言うよって。100%保証はできないけど、少な
くとも家に帰って殴られない程度にみたいなのは。家庭ではしんどい思いしているから、せめて学
校ではしんどさがちょっと和らぐような声かけとかしようかということは共有したりしますけど。
保護者には成績のこととか、出欠のこととか、進路や進級に関わる部分に関しては伝えています。
若いころはそういう塩梅がわからなくて、やんちゃな生徒がいたらその生徒のことを考える余裕
がなくて、あんまり考えることなしに伝えてしまったりして、生徒との関係を失敗したので。
歳をくってきて、親が言っているのと本人が言っているのが、どっちが正しいんだろうかって、
聞いてみないとわかんないなっていうことがわかってきました。生徒たちも子供なのでどこかで
ボロが出て、今回は生徒の方が嘘だったのかなぁとか。どうやら本当のことを言ってるらしいと
いうのを、時間をかけて精査して、僕はこういう風に受け取ったんだけど合ってるかい?ってい
うのを確認しています。でも立場上、親に話さなきゃいけないことはあるので、これとこれは親
に話さない。これは連絡するよって。そのまま伝えると大変なことになるっていう話は、本人と
確認して、口裏を合わせておくということをしています。これは個人プレーというか、学校の中
で共有されているものではなくて、先生のその時の対応で。担任がこういう風にやっているって
いうことは、学年主任と共有して確認しないと場合によってはシリアスになります。管理職が話
のわかる人だったら管理職にも共有して。前の担任の引継ぎと照らし合わせて、齟齬があったら
確認してみたいなことをします。白黒はっきりさせることも大事かもしれないけど、ケースバイ
ケースです。親をうまく使うときもあるし、親が変わってくるときもある。その様子を見ながら
波乗りするような感じですかね。家族の存在の影響の大きさというか、プラス面もありますね。
物理的、経済的にも家族の存在に縛られているような。大きいなというふうに実感している。
ただ、結局難しいまま卒業している生徒もいる。高校の段階で家族関係みたいなところを修復す
る、あるいは問題を把握するっていうような取り組みができないものなのかと。
家族の問題は学校だけだと無理だと思います。学校以外のコミュニティとその子が接する機会をあ
えて作って。本人は望まないことも多いけど、例えば全く環境の違う子供と接する場面がありそう
いうときに、支援機関の方たちのアプローチが非常に大事だと思います。学校だけのコミュニティ
で解決することは難しいと思うので。そういうダイアルとの接続を学校が生徒に情報を提供すると
か。連絡してみたらって提案することで解決するかもしれない。最近の例で言えばヤングケアラー
ですけど、その子たちって無自覚な状態でそれをやり続けている。親と生徒自身が共依存関係にあ
るので、なかなか気づかない。意識をするきっかけはやっぱり外部に求めたほうが良いし、早いと
思います。学校の中だけで解決は無理な話で、外との接点を持つという意識は、学校では割とスタ
ンダードです。ただ、外部の支援機関と繋がる、関係を構築するというのは、すべての教員ができ
ているわけではないです。一部の特別支援コーディネーターの方とか、養護教諭の方は繋がってい
るケースが多いと思いますが、全員がそれをできているとは決して言えない状態ですね。養護教諭
に繋いでもらうことも多い。学校の体制としては脆弱で、特別支援に関する専門的力量を持ってい
る先生はほとんどいないのが現状です。だからと言って必要ないかというと必要で。学校は人が入
れ替わるので。生徒の状況を見てヘルプが必要だと思ったときに、学校でできることには限界があ
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ります。機関の一覧表があるだけでも違うと思います。信用できるところなのかどうなのかなって
わからない人のほうが正直言って多いです。児相に言うと角が立つ。児相に連絡したら破綻するな
っていうのも、いろいろ考えて困ってしまいます。職員一人一人の力量によって生徒の環境が左右
されてしまうのは良くないと思います。学校っていう機関に対して、こういうサポートがあるとい
いですよっていうのを行政がちゃんと文書として共有してくれるといいかな。役所のほうからこう
いう情報があるよっていう風な示され方をするといい。
使いやすいですよね、お墨付きがあれば。現場のことがわかってないから。現場で何が起きていて、
教育相談的なことでどんなことに困っているのか、行政側が把握していない。不登校の数が増えて
いるとか調査だけして、言い訳している。
本当の実態というか、そこを知りたいと思ったら、全部の学校っていうのは無理だけど、今日みた
いな場の方が協力は得やすい。いかに学校が問題を把握していないかということも含めて実態とし
て知ろうと思ったら、無作為というか全部の学校に送っていかに返答が返ってこないかっていうこ
とを含めて出てくるとは思いますね。
家庭関係が悪いっていう理由でやめたっていう生徒はちょっとなんか具体的に思いつかないです
ね、最終的には経済的な理由かなって感じでやめた子はいますが。
経済的な理由で辞めたっていうふうになるけど、よく見ると家族関係もぐちゃぐちゃだったりしま
す。でも主訴は経済的な理由だって最終的にはなります。
本人の学力不振とか就学意欲低下とか。
そっちで処理されるんだけど、やっぱりよく見ると家族関係もあります。
家族関係が悪い中で就学意欲なんか沸くわけない。
家族関係が問題で中退しますっていう理由で退学届には絶対書かないですね。家族関係っていう話
でっていうのはない。記録には残らなくて。
生徒さんも家族関係が難しくなった時に、(聞き取れず)っていうのは教員の中でも意見が割れるの
かな。家族関係を修復させないでどうするんだ、というような議論にしかならない。年齢的にはも
う自立する一歩手前ですから、修復しようっていうことでは先生方の中でも(意見が割れる)。むし
ろ逆に自立支援をいかにやっていくかというところの視点ですよね。
学校的にはどっちかというと生徒指導が大変な学校で、日々それに追われてて、そこの家庭環境ま
で踏み込んでなんとかしようっていう余力が先生方には無いと思います。養護教諭の先生は多分い
ろんな情報を持っていて、手立てはあると思うんですけど、それに周りが乗っからないというか。
そういう意味ではその辺はドライといえばドライなのかな。
公立で言うと、むしろ家族と早く離れたほうがいいなっていうようなケースのほうが私は多いです
ね。ちょっと視点は変わっちゃいますけど、生活保護の方々のところから自立していく子供たちの
大変さっていう問題が多かった。経済的には確かに支援は頂いているんです。生きてはいけるんで
すけども、精神的な自立っていうところが非常に大変です。働くことがすべてではないですけどね。
精神的にも経済的にも自立していくっていうアプローチが描きにくいケースが多いです。
生活保護の子供たちの成長という点にすごく困難性を抱えているんです。自立がなかなかできてい
なくて、卒業していってもその後、壁にぶち当たるであろうというケースとかですね。
そこは非常に大きな問題で、焦点を当てざるを得ないのは経済的な困窮の中で過ごすという経験が
考え方をいかにネガティブにするか。生徒たちもこういうことは聞いてくれないでしょうとか、お
金が無いことによっていろいろな制約を受けて考え方がネガティブになっていく。卒業した後に、
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仕事が長く続かなく、結果、家族だけで時間を過ごすとかしています。本当に学校だけでやれるこ
とじゃないと思うんですけど、学校にもやれることはあって、全体として問題を開くということが
必要なんだろうなというふうに思います。卒業した後に、シェルターに行くとかっていうのはやっ
ぱりあったりするので。
コロナで一番危なかったのはステイホーム。家にいて快適な子はいいけど、家が地獄の子は大変で
した。
子供の学力と世帯収入は相関するというか、安定の中であってもステイホームは危ないっていうの
はありますね。
ステイホームが危ないのは、収入がある程度大きい、でもミリオネアじゃなくて、中途半端にお金
がある。必ず息子は〇〇学部行くとから始まって、俺が〇〇大出たんだから、お前も〇〇大以上に
行け、〇〇大以下は大学じゃないとか。おかしいんじゃないか?これっていうような、親がいて。
どう頑張ったってこれ無理ですっていうのを本人が一番わかっているのに、頑張ればできるでしょ
って言われちゃう、この地獄。教育虐待っていうテーマでこの間話をしました。進路に関して親の
道具にされているっていう。自分が実現できなかった夢をお前が実現するんだっていう最悪の子育
てだったりするし。自分ができたんだからお前もできるだろうみたいな。自分の後を継げっていう。
若者の貧困っていう文脈で今日ちょっと話もあったんですけど、たぶんその後もずっとメンタル調
子悪くてっていうのが。
幼少期の貧困の経験はある種、それも経験ですよね。やっぱり肯定感が全然育まれない状態だった
りするのかなと思います。
経験の貧困とかも言われますね。本当にいろんな社会的な体験とか経験とか繋がるとかっていうこ
とが少ないので、家族から離したほうがいい子ほど家族の中に押し込められているというか。
そこから反発できる子はまだいいんですよ。反発できないまま共依存関係でずっと行って、大学に
入ったはいいけど社会人としてちゃんと育ってないっていうケースが。
高校1年生の時、親子関係が理由で、家出したという生徒がいると、10 個くらい若い担任が、深刻
な顔してすごく騒ぎました。僕はいいんじゃないの?って思ったんですけど、その時はあまり何も
言わないようにしてたんですよ。生徒がずいぶん悪い子ちゃんにされたんだなって思って。なんか
あるんだろうって思ったら二年、三年でほらあったしょ、って。だから(家出に肯定的なのは)マ
イノリティだと(思います)。学校によります。進学校だと、教員も修羅場をくぐった教員はあまり
いなくてっていう場合も結構あるんですよね。
家出を促して、若い担任の先生に怒鳴られたことあります。部活をやめたいって。でも親が話を全
然聞いてくれなくて。親も顧問もやめさせてくれない。親は部活辞めたら非行に走るからやめたら
ダメだって。そういう傾向は、ちょっとはあったので、顧問の先生になんとかうちの息子を引っ張
ってくださいみたいになって。顧問もわかりましたって。親と顧問が、部活をサボった日に二度と
部活はサボりませんって約束させました。やりたくないんだったらもう絶対やらないって言いなっ
て伝えましたが、(顧問や親に)聞いてもらえなかったらそれでいいでしょって。その日、家出をし
ました。そうしたらもう大騒ぎになって。僕らがどうやってここまで引っ張ってきたかわかってな
いじゃないですか、みたいな。非行を助長したんですよ!って。で、結局(彼は)辞めました。学
校には最初に戻るんですが結局、辞めました。でも家族関係で辞めたっていう書類は無い。進路変
更なんです。一身上の都合ですね。マイノリティですね。だいたいここに集まるってこと自体が特
殊な人たちではありますけど。
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(3)大学関係者
開催日時:2024 年 12 月 10 日 19:00~20:40
参加者:3名(大学教諭)
(インタビュア)こういう学生がいて、学校としてどんな対応をされているか、というとこ
ろから入っていきたいと思いま。学生対応の事例の話をお願いできますか。
(B)一番対応に困ったのが、父親が手を上げる家。家に帰りたくないという学生で、金銭
的には割と余裕がありましたが、帰ると痣ができ、顔に痣ができたときは転んだと言ってい
ましたが、帰れなくなりました。友人の家を転々として、急に大学に来た時があって。話は
聞いたけどもどうしたらいいのかっていうことがありました。サポートセンターの方に相
談しましたが、保護者の経済状態がいいため、奨学金を取って家を出ることもできず、アル
バイトをしながらだと、大学は続けられず、結局殴られないように父親と生活時間帯をずら
して家に帰る生活をしました。本人の体調はボロボロの状態で、補講やカバーアップってい
うのも行うこともしました。卒業し、就職もできてこれで多分大丈夫だと思ったんですけど。
この後、心を病んでしまい、しばらく連絡が取れなくなってしまったっていうケースが一番
困りました。どうしてあげたらいいのかわからないし、どんな制度を使ってもどうにもなら
ないってなったときには、どうしたらいいのだろう。家に余裕があったケースでもう一つは、
遠くに実家があって、家賃が払えなくなって、親からの仕送りが止まって授業料だけは振り
込まれているっていう状態です。本人から連絡しても親には連絡がつかなくなって、夜のお
仕事を始めましたが、学校にほとんど通えなくなってしまいました。こちらも親御さんに連
絡が取れないし、授業料は支払われているのでどうすることもできなくて。結局本人は夜間
のアルバイトで、始発までの間、休憩室で仮眠をとるような生活をして、昼間、保健室で寝
ているっていうようなこともあって。卒業はしましたが、就職活動する余裕もなくて。スー
ツとか買えるような状態ではなかったので。卒業してから、どうなったのとかはわからない。
ぎりぎり続けられたのは、授業料は払ってもらえたからです。授業料の猶予は、ギリギリま
で待ってくれますよね。その間に自分でお金を借りて、工面をしたって聞いてます。

(インタビュア)家族は授業料と大学続ける部分の手当てはしているということですね。も
ちろん、いろいろな課題があるんですけれども、例えば経済的なところで、親からの仕送り
や学費の納入ができないような状態で卒業もできないような事例とかあったりしますか。
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(A)学費未納の学生さんは本学でも、年間何人か、いらっしゃいます。家庭がすべて親と
の関係が不調なのかって言ったら、決してそういうわけでもなく。もちろん不調のケースも
ありますし、不調じゃないケースもありますので、様々です。学費の苦労は親との関係に関
係なく苦労されているケースは散見されるかなと思います。

(インタビュア)家族関係とは別で、経済的な部分で親自身がそういう風にできないという
場合もあるんですか。
(A)奨学金を親御さん側の生活費にまわさざるを得ない状況で、学費が未納になってしま
うということもありますね。
(B)そのようなケースは、結構数もあり、最後の顔合わせでわかって、学科⾧と担当だけ
情報が入るので、知ってる先生もいれば、知らない先生もたくさんいるというのは温度差を
感じることが少なくないですね。
(A)センシティブな情報だっていうのもあるので、対応が難しいというのもあります。

(インタビュア)学校側で手立てがあったりしますか。
(A)学費系はごめんなさい。僕が直接対応したことは無いので、学生部の先生方に繋いで、
そちらで個別面談してっていうようなところまでしか僕はわからないですね、
(C)うちは学生支援の体制がかなりできている大学なので、大学の相談の窓口に行って、
大学が組織的に対応している学生が一定数います。学生の面倒をきちっとみるという意識
の教員が多いので、ゼミの先生ごとに抱えているケースというのもそれなりの数あります。
場合によっては、サポートセンターとゼミ担任が協力して対応するという形にして、ある程
度枠組みがあり、システム的にはできていますが、それですべての問題に対応できるかとい
うと、そうでもないという状況です。事務方が非常に学生に寄り添って仕事をしてくださる。
学生たちはサポートセンターとゼミ担任と同じくらいの割合で事務に相談します。事務の
方が保護者と折衝してくれたりもします。困った学生が接触できるところが三つあるとい
うことですよね。だから引っかかりはする。引っかかりやすいが、奨学金が切れて生活費が
無いというのに対してどうこうできる仕組みそのものはないので。対応できるケースと対
応できないケースに分かれるかなと思います。
(B)授業料の支払いを保留にして貰えるっていうことが、あんまり公式のルールじゃない
のかなって思っている部分があって、実はこれ本当にいいのかわかってないから微妙なん
ですけど。二年生の秋学期になった時に半期分しか納めていなかった学生がいました。12
月くらいに学科⾧を通して 150 万以上を残りの期間で納めないと卒業ができないことを担
当教員にだけ共有されたケースがありました。会計課がおうちの方とやり取りをして、何月
までにいくら、何月までにいくらって分割で支払う計画で、それが滞ると電話してくれまし
た。卒業式の当日の朝に、全額が振り込まれてなんとかなりましたが、最後の最後まで本人
はそれを知らなかった。卒業発表のときに納めていない部分があるから、卒業発表に名前が
無い。その日までには間に合わないけど、卒業式までには大丈夫って、親に言われていたん
です。親が消費者金融で借金をして、間に合わせたっていう話を聞いていますが、本人はな
んにも知らないと思います。

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(インタビュア)生活全般の話っていうのはなかなか難しいかなと思っています。どうです
か?
(A)教員が学生の話は聞いていて。ゼミだからとか担任だからっていうのは関係なく、
相談しやすい教員のところに学生さんが相談するようなことはありますね。できる、できな
いという部分はどうしても出てくるかなとは思います。

(インタビュア)家族関係がこじれている学生がいて、親とうまくコミュニケーションが取
れない中で、学業不振だったり出席がおぼつかなかったりっていうようなことになると。学
校として、保護者に状況説明や保護者を通して大学に行くように働きかけをするべきじゃ
ないかという話と、親との関係がこじれている学生の場合はむしろ追い詰められちゃうっ
ていうようなことがあり得るのかなと。例えばそういうのを他の機関を通して何か対応し
ているとかあったりするものですか。
(C)基本的にはメンタルでしんどい学生は相談室というところにカウンセラーが何人もい
るので。学生たちは相談室で、日常的なカウンセリングをうけています。あとは担当の先生
と話をしながら状況を確認しているケースもありますし、ケースによっては精神科ともつ
ながっているので。精神科に通院をさせて、教員も診察に同席してという場合もあります。
医者と大学と学生の間で話をしながら、治療を続けながら、学生生活をどうするかというよ
うな対応をするケースもあります。

(インタビュア)親、家族との接点を持ったりする場合はありますか。
(C)家族とは面談をしたり、電話で相談したりすることももちろんあります。ケースバ
イケースです。家族と話ができるケースはするし、本人が望んでいなかったり、家族を巻き
込むことで本人がしんどくなるケースだとそれはしないです。
(A)通院同行をするといったときに、特に親御さんとの関係が不調なケースを想定してい
ます。端的に言えば親御さんからクレームになってしまうだとか、勝手に何させてくれてる
んだとか。メンタル系のクリニックってまだまだ誤解が生じやすいところもあるので。
20 歳を超えている、成人を超えている、18 歳を超えているとはいえ、勝手に大学が動いて
けしからんみたいなことにはなったりはしないんですかね?
(C)基本的には学生本人が受診したいっていうから、これに紹介して付き添ったというこ
となので、我々が行きなさいと言って行かせたりしたわけではないので。親御さんからそう
いう話があった場合は、ご本人がそういう意思を示されたので、紹介して一人じゃ不安だと
いうことなので、同行していますというのが基本です。親からクレームがつくというか、ク
レームがついても別にどうということは無いので、あまり気にせずにいます。ただ一定期間
入院が必要なケースや頻繁に不安定状態が高すぎて外に飛び出して大騒ぎしたりするよう
な学生もいます。そうすると救急搬送されたりします。そうすると親のところには、当然連
絡が行きます。そうなると逆に親御さんもびっくりするから。遠く離れて学生生活をしてい
る子供の様子を大学と協力しながら見守らなくちゃみたいに意識が変わっていく場合もあ
り、そう思ってもらえるように話はするので。いずれかの段階で保護者に学生を支える側に
立ってもらいます。

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(A)。今までで一番困ったのが、自分が明らかにおかしいと思っている症状があるのに、
カウンセリングや病院にいくことを親にきつく止められていて、行こうとしたら叩かれる
とか家から出してもらえなくなるっていう相談でした。どうしたらいいかというと、どうに
もならないです。そんなことを言ってくる大学はやめなさいとか。そういうことになってし
まって。学校に通えなくなるから、親には言えないけど、病院行きたいみたいなケースです。
こっそり行くわけにもいかなくて、困ったことがあります。
(A)事務方のバックアップがあるのは心強いなって思いますね。学生にとっても選択肢が
3 つあるということですけども、教員にとっても自分以外の選択肢が 2 つあるっていうとこ
ろは、学生さんの対応をしてくときに手札があるっていう強さがあって。余裕をもって対応
できるなっていうのはお話を伺っていて思いました。それが大学全体の雰囲気としてある
っていうのはいいなあと思いますね。話を聞いているときに、どうコンセンサス取ればいい
んだろうかというところは、頭の片隅にどんどん浮かんでくるので。組織的というよりは個
別対応の応用編がいっぱいあるっていう感じなので、計算が立たないといいますか、この個
別対応はどうしたらいいんだろうっていうところで、まず自分が悩まなければいけないと
いうところがあります。枠組みがしっかりしてるというのは強みだなと思いますし。
(B)進学って贅沢品なのか、それとも学生本人が自活して生きていくために必須の物なの
かっていうところが今すごく難しいんじゃないかなと思っていて。生活保護を受けながら、
その世帯で大学進学はできないけど、世帯分離をすると進学ができるっていうケースをう
ちの学校では取り扱ったことがあるのをちょっと知っていて。お金が無理だったら、辞めて
自分で働いてから来なさいって思っている先生方も多いなとは思って。その感覚ってまだ
すごく強いかもしれないです。心身の状態も、いったんお休みして万全になって健康になっ
て、通えるようになってから通いなさいという対応が今まですごく多かったです。
それが大学の方針なのか、たまたま対応した人の上にいた人の方針なのかはなんとも言え
ないなと思っています。そのセクションを管轄する人によって変わるんじゃないかなって。
それってすごい、不安定ですよね。大学の方針があるなら良いんですが、方針が贅沢品だか
ら状況を整えてから来なさいに決まってしまったら、私たちはもう動くこともできないだ
ろうなって思って。なんかグレーゾーンのままでも、いいかなっていう気も今はします。

(インタビュア)全般的な傾向かはわからないですが、大学進学に、社会的養護の経験があ
る子供たち、あるいは低所得世帯の子供たちに、(学費の)無償化で進学の道が開けてきた
中で、学力とセットだったりするというか、成績がある程度ないとその保証が付かない。ア
ルバイトをしながら生活費をなんとか工面してってことと、成績の両立が難しかったり、
家庭環境が複雑でサポートを受けられなくて学費を工面するのが難しいケースがここ数年
で増えてきているような、印象はいかがですか。

(A)社会的養護の部分に関しては、奨学金が幾分か給付型で出るようにはなってきました
が、劇的に進学率が上がっているのかといえば、児童養護施設から大学への進学率は 20%
程度なので。改善はしてきているけど、劇的なものではない。そして、社会的養護出身の学
生のデータとして中退率が非常に高い。文科省調べで一般大学生が 1.9%のところが 17%で
あったりとか、データの取り方によっては 27%であったりとか。データの取り方が一緒じ
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ゃないので、単純な比較にはならないんですけれども、やはり中退率が高いというところは
出てきています。社会的養護が関わってきた子供たち、学生さんであったとしても、措置解
除をされてアフターケアが機能しなかったら実質社会的養護と繋がっていない若者という
ことになります。単純に社会的養護の出身か否かというところでは測れないかなと思って
います。中退を防ぐためのチームというものはある程度必要なのかなと思いますし、そのス
キームの応用が社会的養護経験のない学生さんたちにも活用できないのかな、というとこ
ろが今後の大きな課題になっていくのではないかと思っています。
親との関係の不調という部分で、例えば 15 コマの授業だったら 5 回欠席したら失格になっ
てしまって、(単位認定)試験も受けられなくなってしまいます。必修科目で 3 回休んだら
本人に連絡を直接取る。4 回目になったら親御さんを含めた保証人であったりとか、お家の
人に連絡をして、こういう状況なので心配ですよってお声がけしてくださいというような
ことをします。5 回目で本当にアウトになってしまうので、その間までに学内で(該当の)
学生を見つけたら声をかけに行くし、あの授業は、出てるはずだからっていうことだったら
教室の前で待って声掛けに行くようなこともしつつ、親御さんにも連絡とってということ
をやってはいるんですよね。それはどの学生にもやっています。計画的に休む学生もいるの
で、計画的なので大丈夫です、って言われて、親に連絡しないでくださいよ、とか言われち
ゃったりもするんだけども。その中で親御さんとの関係が不調であったりだとか、形だけ保
証人が必要だから名前だけ貸してますよというようなケースの場合、連絡を取ることによ
ってより不調になってしまうということもあります。ルールとしては、連絡しましょうって
なっているので、教員としてはジレンマに悩まされることもあります。学生さんと個人のコ
ミュニケーションがとれていて、いろいろ事情がわかっているとしたら、直接学生さんに言
うことでフォローはできます。増えているかどうかという質問に戻ってしまえば、体感的な
部分では増えてきているんじゃないのかなという。いわゆるヘリコプターペアレントとい
う、親御さんとしては良かれと思ってやっていることが、学生さんにとってはもうしんどい
っていうことになっていたりすることもあると思います。大学の欠席数が増え、ご本人と面
談したら、ヤングケアラー状態になっていたというのはあります。あとは精神的な不調を抱
えている学生も増えていると思います。
(B)明らかに増えていると思います。短大は 2 年で終わるので、2 年だったらなんとか耐
えられるかもしれないぞ、みたいなのが。資格ちゃんと取るところだったらそういう方向に
進みたい人しか入ってこないと思うんですけど。短大はここ 5 年くらい、片親かつ、それが
母親っていうケースが多くて、そういう学生の多くが冗談のような額の奨学金を借りてい
るケース。本当に返せるのかっていうね。授業料が足りなくなっているっていうようなケー
スが、数として増えているというよりは、割合が増えているなという風に感じるケースが多
いです。親も多分 2 年くらいだったらなんとかできるかなって思って。
親に連絡をすると、親は子供に言わないでくださいって言うし。子供も親に連絡したら辞め
させられちゃうから先生言わないでって。学校に来れないなら、辞めざる得ないよねって、
話になった時に、私は勉強続けたいんですって。じゃあ学校来ればいいじゃんね。でもこん
なんだったら、お母さんに言わなきゃいけないなって脅している感じになって。蓋を開けて
みたらその子はちょっと発達障害気味で、コントロールが全然できなくて、親も全然気が付
いていなかった、というケースもあって。教員もどこまで口出ししていいかっていうのは、
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義務教育でもないし、正直つらいところだなと思ってはいます。バランスが取れない学生や
コントロールができない学生、さらにそれをコントロールできない親がちょっと増えてる
という感覚はあります。
(C)教員経験からして増えたというよりは、もともとそういう人たちがたくさんいたとこ
ろで仕事をしてきたかなというのが、私自身の経験というところなのですけど。
ただ、大学全体としてはおそらくメンタルの課題を抱えていたり、発達の課題を抱えていた
り。不登校経験をして、オルタナティブスクールを経て大学に来た学生の総数というか、割
合というのは増えていると思います。あと児童養護施設の出身の学生さんは、出身情報が教
員のところに来ないんです。どの学生がどういう出自ですよっていう情報は一切来ないの
で、私たちも知ることはできないです。ただ、うちの大学は丁寧に学生たちと関わるんで、
その中で大体の状況を把握していきます。そういう点でいくと、施設出身の学生はちょっと
増えていると思います。積極的に大学進学をさせようというふうに施設の対応としてやっ
ているところもいくつかあるので。そういう大学進学を後押しをしている児童養護施設か
ら来る学生さんの数はやっぱり増えていると思います。今まで学年 1 人だったのが 3 人く
らいになっているかな、という印象はありますけどね。

(インタビュア)家族関係もありながら、経済的な問題に対して、学校が打つ手がなかなか
ないのかなと思いますが、そのあたりはいかがですか。
(B)お金の問題は、難しいですよね。お金の余裕がないんだったら休学しなさいって。お
金が貯まったら復学しなさいって。何年までは休学できるという話はしますが、じゃあ休学
期間どうやってお金を貯めたりするのかなっていう、アドバイスまではほとんどしていな
いと思っていいます。逆に本人から家にも帰れないし、どうしたらいいですか、って言われ
たときに、家賃の安いエリアとか、夜に傾きすぎないでできるお給料の高いお仕事とかなん
かないのって聞いたり、住み込みのところがないかとかを一緒に探したっていう経験はあ
ります。住み込みのところを見つけて、でも結局戻ってくるほどは貯まらなくて。この仕事
で生きていけるってわかったからやめますってなっちゃいました。家と関われない状態に
なっている学生に休学はさせるけど、その後どうしたらいいか、考えなさいって言うのは簡
単ですが、すごく責任が重いから、おいそれと手を出せないことで。
(インタビュア)学科としてとか、学校組織としての対応っていうのはほとんどないのかな
と思います。
(B)そこまでは手を出すなっていう雰囲気があるような気がします。
(A)休学のサジェストするときにしんどいなと思うのが、奨学金を借りている場合。
奨学金は基本的に 4 年間分しか想定していないものが多いので、結局 1 年分奨学金なしで
やらなきゃいけないって言ったら。余計苦しくなっちゃうだけで。やはり戻りづらくなって
しまうというのはケースとしてありますし、ただの一回も失敗ができないというところは、
矛盾を感じるというか。例えば意図的に一年休学をして、海外に留学するとか、調査をしっ
かりしないかっていうような学生さんと比較したときに、そういうチャンスすらも得られ
ないのかっていうところはあります。しんどい学生さんだけじゃなく、前向きに学業に取り
組んでいるけれど奨学金を借りてきている学生さんが半数近くいるので。これは新たな格
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差になっていくのではないかと思ったりしています。どんな支援が必要なのかという話で
言えば、社会的養護経験のケースに関しては、いかに社会的養護のアフターケアと連携をス
ムーズにするのかっていうところです。大学側も突然連絡が来ても個人情報なんて言えま
せんというところで終わってしまうだろうということが想定できます。そうであればそう
いったスキームを作っちゃいましょうっていうところで。作って連絡が取れるというか、事
前に(事情が)わかっているケースに関しては、入学前からコミュニケーションを取るよう
に、学生さんもしっかり間に入れて。施設であれば自立支援担当の職員も一緒に入れて、リ
ービングケアやアフターケアと一緒にやっていきましょう、ということで取り組んでいま
す。コミュニケーションは取るようにはしています。それでも情報が来ないことがあります。
当事者の方は、社会的養護のことを知らない人に一から説明するのはしんどいですね。まあ、
先行研究でもいろいろ出てくるところなので、じゃあそこは僕がアドボカシーするよ、代弁
するよ、っていう役割を担ってきました。これって社会的養護の子供たちだけじゃないだろ
うなと推察していて、家庭環境にしんどさを抱えている方。ギリギリの状態で、生活保護や
家庭で世帯分離をして進学してきている方、親との関係が悪い方やヤングケアラーの方。
あらゆる人が一から説明するしんどさというものはきっとあるだろうと思うので、そこを
代弁する、そういう機能が学内か学外か、どちらにせよあったほうがいいんじゃないかと思
います。
(インタビュア)大学生が家族を頼れないときに、その後ろ盾が生活困窮者支援団体である
となると、大学側もピンとこないというところもある。
(B)学生がそういうところを利用して通学していることもなかなか想像されないことで
もあるのかなと。特に私大だとよりお金がかかるから。そういうところの子は多分来ないだ
ろうと思っていると思います。
(インタビュア)学生の学業を続ける難しさの状況把握は一体どこに当たったらいいです
か?
(B)大学全体の方針がそういう方向になっている大学は、どこかの窓口に行けばわかると
ころはわかると思います。
(C)メンタル系の学生の統計とか、情報は相当あります。障害学生系の状況とかニーズは
把握する。そういう情報も多分沢山あると思います。整っている部分はありますが、今日の
話の様なトータルとして学業継続の難しさを抱えている学生みたいなのをターゲットにし
て情報を集めることはやっていないし、どこでもやってないと思います。
だから今もしやるとすれば、ここにいらっしゃる先生方のようにある程度そういう対応の
経験があったり、枠組みを作ろうとしていらっしゃるような先生から、まず話を聞くという
ことでしか最初の情報を集めるのは難しいと思います。結局、大学が組織として現状どこも
対応できないわけですよ。だから情報も集められないし、窓口にもなれない。これをうまく
機能させようと思ったら、大学の側にカレッジソーシャルワーカーみたいなものを仕組み
として持っているところがいくつかありますから、そういうところだと情報を取れると思
うんですよね。情報を聞くことと、それからやっぱりこの仕組みを進めていこうと思うと、
大学側に窓口になるような専門職のカレッジソーシャルワーカーみたいなものを正規の職
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務として配置していくみたいなことがないと多分進みませんよね。
(B)学業継続が難しい理由とか、中退した理由を外部組織が聞いてしまうと、表向きは進
路変更とか書いてくるけど、裏に違う事情があったというのは多分拾い上げることができ
なくて。進路変更の数だけであれば、その数でも十分いいっていうのであればこの数字は全
部把握していると思いますが、そういうことじゃないだろうなと思ったので。それはすごく
難しいところかな。
(インタビュア)高校の先生も近い話をしていました。だから高校、大学、たぶん専門学校
とかも含めて、現場でかかわった先生とかは言っていますが、数字としては出てこない。
(A)中退理由に関しては、それこそ奨学金を借りてきている学生さんにとっては結構セン
シティブな問題ですよね。単純に学力不振ということになったら、奨学金を返しなさいとい
うお達しが来る可能性があるので、そうならない方向を考えなきゃいけない。
そうなったときに例えば精神的な疾患があるので続けられませんでした、っていうような
合理的な理由をあえて出してくる可能性もあると思います。そして非常にバイアスのかか
った中退理由が出てきます。例えば経済的困難が実際あったとしても、奨学金を借りてるの
に、何故、経済的に困難ですかというようなところは、主たる理由にしづらいというのもあ
ると思います。奨学金を親のパチンコで使い込んだっていうケースだときっと返せってこ
とになっちゃう。社会的養護の方の調査ですが、児童養護施設出身学生の学生支援に関する
調査というものを上田先生という方がされていて、これは 2020 年に取られています。この
方は学生支援課学生部宛に調査票を郵送しています。全国の大学、国公立私立に全部お送り
していて。結局 653 校に郵送したうち、回収が 131 校。回収率 20%です。これくらいを見
込んで送ってみるかですね。

(インタビュア)さっきのお話の中で、通常の家庭にいらっしゃる子に比べて、児童養護施
設の人たちって、中退率が十倍くらいの数字だったと思うんですよね。その中でアフターフ
ォローの話をされていて、施設を出た後のアフターフォローって結構充実しているのかな
と思っていましたが、課題はどんなところですか?
(B)国の調査が、結局その調査が行入りましたが、施設だとか里親さんを通じて今繋がっ
ている人たちにこの調査票を出してくださいっていう調査実態です。繋がっていない人た
ちはもっといっぱいいます。3 年たったら関係が継続できてないという割合、(正確な)数
字をちょっと今すぐ思い出せませんが、かなりの割合であります。それはいろんな理由があ
って、児童養護施設などを僕がインタビュー調査した中でも、もう関わりたくないっていう
方もいれば、施設の職員、里親さん双方忙しいから、今いる子供たちの支援の邪魔になりた
くない。自分の困難な部分は相談したくない。里親さん出身の子でしたが、やっぱりいい姿
を見せたいみたいな。だから困った姿を見せたくないという話をします。施設には感謝して
いるのだけれども、僕にとっては忘れたい歴史だという方もいらっしゃったりしました。だ
から良好じゃないから施設に相談できないというわけでもなく、本当に施設との関係が悪
くて、もう会いたくないというのもある。プラスして北海道特有の課題として広い訳ですよ
ね。道東方面の施設に入所していた子が、北海道はどうしても進学先が札幌圏に集中してお
り、みんな移動してくるわけです。今の生活で何か困りましたっていったときに、アフター
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ケアで出身施設に頼りましょうとなっても、そこに行くのに何時間もかかるってなったら
丁寧なケアがやりたくてもできないというようなものもあるし。
札幌の地域資源がわからなかったら助言のしようもないという。(例えば)我々が釧路に何
がありますかって聞かれても、和商市場くらいの感覚で。支援をしようとしても何もできな
い。やっぱり自分で何とかしなきゃってなる。措置延⾧という制度はありますが、(利用割
合の調査を)北海道でとっているのかな、わからないですけれども。僕が出会っている当事
者たちは少なくとも、もう施設を出たいと。だから、国は今年の 4 月からの改正で自立援助
ホームを⾧く使えるようにするだとか、出戻りオッケーにするという枠は作っていますが、
僕が出会っている当事者たちはどう考えても利用しないだろうなと思います。早く施設か
ら出て自由になりたい、一人暮らしをしたいっていうニーズのある子たちが、施設を継続し
ましょうとか。大人の感覚で行けばそのほうがいいに決まっていますが、フォローも充実す
るし。でも当事者になったらやっぱり一人暮らしをしたいよ、とか。今からまた新しい施設
に行くのは嫌ですよっていう。そこでまたゼロから関係作るなんてすごく嫌です、というこ
とになる方との出会いのほうが僕は多いので今の枠組みって当事者ニーズを汲んでいるの
かなというところは幾分疑問に思っています。枠として聞こえはいいんですけれども。どれ
だけ利用するのかなというところは疑問で。結局当事者が一人で頑張らなきゃいけない。そ
の中で、知らない人には相談したくない。なぜならゼロからなんで自分が施設に入所するこ
とになったのかというトラウマから話さなきゃいけないというのは、非常に心理的な負担
も大きいので。多分正直に話さないんだろうな。知ってる人間がいたら話してくれる。知ら
ない人には多分適当に、いいストーリーで話をしていって、そうしたら辻褄が合わなくなっ
て、この子嘘をついてるんじゃないという風に大人側は思ってしまうっていう。負のスパイ
ラルになってしまうんじゃないかなというところは、非常に心配しているところなので、冒
頭で(話したように)社会的養護だから大丈夫だよね、ということにはならない。そこで対
立を発生させちゃいけないという風に思うところです。
(B)情報だけ機械的にアクセスができて、人間じゃないものに相談ができるというか、頼
ることができる情報ソースとか情報源みたいなものがあったら、もしかしたらアクセスも
しやすくなるのかもしれない。背景が施設の出身とかじゃなくて、家とトラブってるだけの
学生とかでも、事情を説明しなきゃいけないという感覚って多分同じだと思って。そういう
情報にアクセスする方法を大学に繋がるように置くことができたらと思います。
(A)被援助指向性っていうのかな、受援力の部分をずっと調べてたんですけども。高校
生を対象に困りごとがあるときに誰に相談するかっていうものを複数回答で尋ねた結果、
面識のない SNS 上の知り合いって答えた人が約 2 割を占めたというような(結果がありま
した)。要は日常生活の中で誰かに相談すると、様々な不利益や心理的葛藤が生じるので、
知らない人のほうが気楽に話せるというものは、やはり一定数あって。この層が今度は闇バ
イトであったり、性的搾取であったりとかっていう部分に繋がる可能性もあるっていうこ
こもすごいリスクだなという風には思いますね。そして生成 AI が学生さんの中で非常に身
近になってきているので、あれがどう作用していくのかっていうのは、今後新しい研究にな
っていくんじゃないのかな。SNS とはまた違う、第三、第四の選択肢に生成 AI がなってい
くんだろうと思うので。

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(B)最近の CM が悪いですよね。AI だったらもっと答えてくれるんじゃないかと思って、
結構うのみにするリスクはいつも見て思ってて。学生には言っていますけど、あれが本当に
一般的なものだと思っちゃったら、もしかしたらそれを使うのかもしれないし。ちゃんとし
たデータベースにのみ繋がっていればいいのにって思います。誤情報も全部取り込んじゃ
って答えてくるから怖いですよね。
(A)否定的な結果を懸念するよりも、肯定的な結果が得られることを十分認識していない
ために相談しないという部分があります。困難を抱えている学生さんと相談をしたときに、
どういうポジティブなものがあるのかということを、情報として発信していかないとダメ
なんだろうなという風には思います。困難を抱えている学生、若者であればあるほど相談は
簡単じゃないということで。社会的養護の子供たちなんかは経験の過酷さから声を奪われ
た状態で、今生活しているので、相談に対する不安感しかないっていう。負の経験をしてき
ていたら、大人に相談するっていうところが困難になる。これは年齢関係ないと思うんです
よね。成人になったから相談しやすくなるということにはならないと思うので。そういった
経験があって、どうせ相談してもっていう風になったら、急に、欠席が多いけど、どうした
のって言ったら、いや実は、という風に言われても、我々教員も手立てがなくて苦しくなる
っていうのはあるかもしれない。
(B)あそこに相談してよかったとか、解決したっていう話をどこかから聞いていれば、じ
ゃあ私もそうなるのかなって思うけど、そういう話自体も共有しないから。大っぴらには言
えない。その情報って繋がっていかないんでしょうね。
(A)抱えている困難が、生活面のことに偏りがあると思うので。お金のことや、アルバイ
トのことであったりとか、そうなると大学としての支援が難しくなってくることが多くて。
キャンパスソーシャルワーカーをしっかり置いておいて、生活のことは地域の中に相談す
る場があるわけだから、そこがしっかりイニシアチブを取って、そこが大学とスムーズに連
携が取れる仕組みを作っていかないといけない。どこかだけが頑張るっていうのはやっぱ
りもう上手く機能しないと思います。ただ、まだキャンパスソーシャルワーカーを置いてる
大学って道内にどれくらいあるのかわからないですけれど、少なくともうちにはいないの
で。そうじゃない障害を抱えているとか、精神疾患を抱えていてという風になるんであれば、
シンプルに障害者の相談事業所がいろいろ地域の窓口になれるはずなんですよね。ソーシ
ャルワーカーと大学がどう連携しようかというところだけ解決したら、きっとある程度ス
ムーズになっていく。生活困難を抱えている学生さんであれば、生活困窮者の支援をしてい
るところがもうすでに地域にあるわけだから、そこがイニシアチブを取っていけたら、そこ
と大学がどう連携するのか、接続する場所を整えることができれば。要はエンパワーメント
を高めた状態で、学生さん本人が描いた学生生活ができるんじゃないのかなと。
(インタビュア)経済的問題だったりすると、途端に(解決策が)なくなるんですよね。そ
こは、大学生も困窮する場合があるんだっていう認識を世間全体で持っているかっていう
か。引っかかっているところですね。
(B)父親と父子家庭の子で、父親には言えないみたいな。最終的には父親に払ってもらっ
たんだけれども、滞納の件をなんとかしたいけど、どうしたらいいか訊かれて、私の手に負
えないのでソーシャルワーカーのいるところに行ったんですよね。
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そこで法律事務所紹介していただいて。どういう手段をとって、どこに行けば何の相談に乗
ってもらえるとか全部紹介してもらって。少し時間がかかるから、やっぱりお父さんに言わ
なきゃいけない。後でちゃんと補填するからって。お父さんに言えないかっていうのを二、
三か月やって。お父さんに一時的に立て替えてもらって、そのあと弁護士に入ってもらって
お給料払ってもらった分でちゃんと埋めたっていうのはあって。他にブラックバイトに引
っかかって辞められなくなって、⿁の LINE で心を病みそうだからどうしたらいいですか
っていうケースも、そっちの方でもお世話になって。しかるべき相談窓口を教えてもらって、
親にも話して解決したケースはあります。あそこに行けばブラックバイトのことを解消し
てもらえるっていう噂が学生には広がって。ただなんでも相談できるから相談しに行く子
はメンタルの子が多いです。私もメンタルだって思われるのは、嫌だから堂々といけないか
らなんとかしてくれって言われて。電話かけて一人の時間に行って。学内に相談できるとこ
ろがあるというのは違うなというのは思います。今のケースで親が機能しなかったら、終わ
ってたと思います。まだまだ事情を話したから授業料の支払いを待ってくれるわけではな
いと思います。でも、待てるのだったら、待てる体制にしてほしいとは思いますね。でも難
しいですよね。
(A)大学で学びたいと言っている人の学費をなんとかかからないようにできないのかと
いう経済的な部分が解決したら、表に出てくるのが親問題になると思います。このあたりの
教育の機会を奪われている。
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4.報告会の開催
〇タイトル
「親を頼れない若者の住まいの支援について」
〇日時
2025 年 3 月 4 日(火)13 時 30 分~16 時 30 分
〇開催方法
YouTube 配信
https://www.youtube.com/watch?v=-nntLOAeRzM
〇視聴人数
153 名
〇開催概要
親を頼れない若者の支援を先進的に取り組んでいる、認定 NPO 法人トナリビト、NPO 法
人釜ヶ崎支援機構の方を講師としてお招きし、活動紹介をして頂くと共に、ユースサポート
ハウス事業や検証会議の報告を行います。また、若者期における親の役割について考えてい
きます。
〇プログラム
1.トナリビトの活動について (13:35~14:25)
講師:認定 NPO 法人トナリビト 代表理事 山下 祈恵 氏
2.認定 NPO 法人釜ヶ崎支援機構の活動について(14:25~15:15)
講師:認定NPO法人釜ヶ崎支援機構 理事・事務局⾧補佐 松本 裕文 氏
3.検証会議報告(15:15~15:35)
報告者:検証会議 座⾧ 山内 太郎 氏
4.若者期における親の役割とは?(15:45~16:30)
【登壇者】
認定 NPO 法人トナリビト 代表理事 山下 祈恵 氏
NPO 法人釜ヶ崎支援機構 理事・事務局⾧補佐 松本 裕文 氏
さっぽろ若者サポートステーション 山名 徹 氏
NPO 法人 CAN 屋代 通子 氏
NPO 法人コミュニティワーク研究実践センター 湯澤 真吾
【コーディネーター】
検証会議座⾧ 山内 太郎 氏
配信先 QR コード
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〇内容
山下氏から、認定 NPO トナリビトの活動を始めた背景とこれまでの活動についての報告
があった。また、子どもたちの置かれている状況について社会の都合や親の状況により、ス
タートラインに大きな開きがあり、その差を埋めるのが福祉や社会保障の役割ではないか
とあった。また、親の機能の社会化について、本来、社会が果たせていないことを「親の役
割」として押し付けてきただけではないか?若者たちの困りごとを見過ごした結果、現在の
ような状況が生まれているとあった。松本氏からは、NPO 法人釜ヶ崎支援機構の釜ヶ崎に
おけるホームレス支援の活動について説明があったあと、ユースの居住支援について取り
組むきっかけや取り組み状況について説明があった。また、居場所事業についても説明があ
り、当初は若者層を想定していたが、近隣の小学生や親子での利用もあるなど、求められる
機能が広がっていることや地域に開かれた公共的な家族空間のようになりつつあるとあっ
た。検証会議報告では、本事業での取り組んできた内容についての説明やヒアリングの内容、
若者期の親の役割について説明があった。パネルディスカッションでは、親側のサポートや
親のマイナス面だけではなくプラスの面にも目を向ける必要や、家族に何でも押し付ける
のではなく、難しい部分は地域や社会がサポートしていく必要がある。また、美味しい夜ご
飯を提供してくれる子ども食堂があるから、子ども食堂に通うきっかけになり、結果、親と
は違う大人が関わり、家族の中に縁側のような余裕が生まれ、親と子供の関係性の安定化に
つながるのではないかともあった。
〇写真

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5.提言
(1)親を頼ることが難しい若者の背景
①親を頼ることが難しいとは?
〇貧困や精神疾患等、孤立を背景に、若者を支えるだけの余力が親側に無い
〇虐待やネグレクト、過干渉などにより、親との関係を断つために避難してきた若者
親を頼ることが難しい若者は大きくは、2つに分類される。若者の出身世帯そのものに、若
者を支えることが難しい世帯。もう一つは、虐待・ネグレクト・過干渉などにより、家族と
の関係を断つことを希望している若者である。前者は、家族関係が悪いケースもあるが、比
較的関係が良好な場合もある。一方で、若者自身が関係を断つことを選択し、家を飛び出し
た場合は、支援開始時には関係回復を望んでいない若者も多く、若者の心情を理解し、若者
の意志を尊重した関りが非常に重要になる。
②社会の認識
〇親が子どもの全責任を持つべき、庇護すべきであるという家族主義的な社会
〇親や家族でなければ判断や責任を難しいことが多い
〇家族関係で苦しむ若者の問題が認識されてない
社会側の認識として、家族関係は良好で、家族に対して家族が全責任を持つという、家族主
義的な主観が社会側に根強くある。そのため、親を頼ることが難しい若者の心情を理解する
ためには、「家族とは必ずしも良好な関係」ばかりではないことを前提に、考えていく必要
がある。
③在学時に発見された問題への対応
○在学時から、家族関係の問題はある程度、把握できている。対応は先生の個人裁量に委ね
られている。
○学校と社会資源の連携の難しさ
○児童相談所への通報のハードルの高さ
子どもから若者に成⾧するに当たって、多くの若者は高校や大学・専門学校に進学する。
家族関係が悪い若者の問題は、在学時には発見されていることも多いことが今回のヒアリ
ング調査でわかった。しかしながら、家族関係への対応は、学校の範疇を超えることも多い
ことや学校の中だけでは、アプローチが難しい場面も多く、先生個人の裁量に委ねられてい
ることが多い。また、児童相談所への通報は、学校としてもハードルが高いことや児童相談
所が介入することで増々、家族関係が悪化することが予見されるため、通報をためらうケー
スも多いことがわかった。
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(2)若者期における「親の役割」とそれを社会化するためには?
【親の役割】
①若者にとっての最後の砦(社会側からの期待も含む)
〇経済的な援助や保証
〇社会的な手続き等の援助
〇子どもへの責任
〇帰省場所の提供
②良き相談相手であり助言者
③若者期の「育ち」・「成⾧」の援助
【若者期における「親の役割」を社会化するには?】
「親の役割」を社会化することについて、本事業では考えてきた。相談に来る若者の多く
も「親」との関係に苦しむ若者がほとんどであった。しかしながら、「親」への愛着を持っ
ている若者も非常に多く、若者期の「親」とは、子ども期の関係性の延⾧線上に存在し、「親」
を頼ることが難しい若者は、子ども期から親との関係は不安定なものとなっていた。
核家族化が進み、孤立が顕在化してきる現在においても、「家族」が担う役割やその期待
が、大家族が一般的であった時代と変わらないことから、家族の負担は以前より大きいもの
になっている。そのため、「親の役割を社会化」することを考えた時、若者だけではなく「親」
へのサポートが非常に重要である。一方で、⾧い時間を家族として過ごし、親を頼ることが
難しいと結論を出した若者にとっては、「親も困っている」という理屈としては理解できる
が、それを前提にすると、家族関係で苦しむ若者としては頼る場所を失ってしまう。そのた
め、支援現場では「親」を頼ることを前提としないアプローチが必要になる。
子供期と若者期では、親の関りや周囲からの期待されることは大きく異なるが、基本的に
は「最後の砦」という部分は変わらない。そのため、親を頼ることが難しい若者は、最後の
砦を失ったまま、自ら育ち、成⾧していくことを余儀なくされる。また、育ちや成⾧の過程
で、相談できる相手がいなくなる。
「最後の砦」と表現された部分が「若者期における親の役割」と仮定し、それらを細分化
し、社会で全てを担うという非常に難しく、事業として担うこともまた難しいと考える。し
かしながら、①相談できる人をセットにした暮らしの場・帰れる場 ②雑談などから相談で
きる場所 ③食事提供や体験事業などもあるような居場所 等、地域の中に若者が利用可
能なメニューが複数ありかつ、若者自身が選択できることで、自身が信頼できる大人に相談
しながら、育ちや成⾧の助⾧につながっていくものと考える。
生まれた環境や親の経済状況等に左右されない、みんなが同じスタートラインに立てる
環境整備を行政が主体となり行うべきである。親に頼ることが出来ないことで、学びや安心
した暮らしを奪われる若者がいる。若者期は将来に向けて迷い、試行錯誤を繰り返しながら
ゆっくりと考える時間が必要である。そのため、若者に対して学費の無償化、最低限度の生
活を支えるとは異なる観点での家賃や生活費の援助など経済的支援も重要である。
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【発行】
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検証会議委員